鍛冶屋日記

月別: 2020年8月

どんな未来を迎えに行くのか。

今年の抱負がまだはっきりと決まってなくてずっとふわっと考え続けておりました。

こんな時代にもそれなりにうまく回っている仕事と生活の中で、何を目指して生きるべきか。働くべきか。

1月8日のブログにも「今年の抱負、まだ固まってないのでちょっと考えてみます。」って書いておられる。

決めました。
今年の抱負ではなくてこの先10年からこの先20年の目標。使命。

 

 

『後継者を作ります』

 

 

親父さんがつくった笹岡鋏製作所の後継者を作ります。宣言。

25歳ではさみ屋に就職して23年。
やりたいようにやらせてもらえてやりたいようにやってきて。新進気鋭の鍛冶師を気取っておりましたが、もう50歳がすぐそこに。一年と少し。こわい。

ガツガツ働くのも元気に過ごしてあと20年。
働き盛りの期間も後半にさしかかりつつあるような。

今、そして今からあとに買ってもらえる鋏や包丁、僕が辞めたら誰が直すのか。これからもっと年下の若い方々にも買ってもらわんといかんのに。
そんなことはずっと考えていて。

つまり、作る刃物の寿命と自分の職人としての寿命がそちこちなくなってきたような。

若い植木職人さん、困るよね。

鍛冶屋さんの後継者の作り方。
実践しようと決めました。

まず考えるべきことは、息子さんが2人います。23歳と21歳。
この2人が鍛冶屋をやるかやらないか、全くわかりません。
だって自分だって25歳まで鍛冶屋になるとかなりたいとか全く考えてませんでした。

流れです。人生どう転ぶかわかりません。
「やりなさい、やりや、やったら?」なんて言ったことはないような。
言ったことはないけれど「やりたい」って言われた時に「おー、やれや。」って言える状況は作りたいとずっと思って進んできました。

「自営業さいこー!」とか「仕事めちゃ楽しいで。」「うん、稼げるよ。」ってのはチャンスがある度に伝えてきました。

なので、5年くらいは待とうと思います。
やっぱり一番スムーズなのは「息子が継ぐ」この形。
それから、誰か別の後継者候補が先にいたら入りたいと思っても入りにくいもんね。

しばらくその枠は空けちょきます。

そのあと2人が自分の人生をしっかり見つけてそれが鍛冶屋の人生でなければ、違う誰かを探します。

「もう自分の代で終わる、だから自分だけ食べて行けたらいいよー。」ってだいぶカッコわるい。

(個人的な見解です。)

 

少なくとも10年後、60歳くらいでは息子たちなのかそれとも別の誰かなのかを見つけて

(逆かもなー。僕が見つけてもらう、僕の仕事を見つけてもらう必要があるかも)

そこから10年、教えられることは教えて職人人生を全うしたいと思います。
そして、親父さんから受け継いだ技術も工場も機械も販路も渡す。

 

あー、実現出来たらカッコいいなー。
親父さんは実現しちゅうもんなー。ほんとすごいなー。

 

こうやったらこの仕事楽しいよ。
お客さんと直接繋がるとやり甲斐ハンパないよ。

そういうことを若い職人さんたちに伝えよう伝えようと頑張ってきましたが、いまいち結果が出せないので、そういう活動じゃなくてもっと具体的に「笹岡鋏製作所を次に繋ぐ」ってことをやることにします。

 

ま、ぼんやりイメージしていたことをここで宣言しただけながやけど。

そこに向かって進むことは決めたので、応援してくれたらうれしいです。

そんな未来を迎えに行くことに決めました。

よろしくお願いします。

 

 

 

先週金土日はお盆休み三連休。

金曜の16時〜24時と土曜の14時半〜24時まで麻雀しました。2日連続の幸せ。

 

金曜は息子の少年サッカー時代の友達のお父さん達+次男りん。

土曜は僕の高校の同級生2人+次男りん。

 

 

初めて次男りんくん(来週21歳になります)とガチ麻雀をしました。

大学生になって1年と数ヶ月。すっかり麻雀出来るようになっていてうれしかったです。

最初は「いっちょまえに盲牌しゆう。」とか「ちゃんと役も数えれるやん。」とか「うわー、対子落としとかしてくるやん。」とか感じながら。

それが後半は全く気にならなくなるくらいやり込んでやがりました。普通に麻雀出来るやつでした。

「息子といつか酒を酌み交わしたい」なんて思ったことはないけれど、あれを言うお父さんはこういう気持ちながやね。

「息子と点棒のやりとりをする」という夢が叶う。

 

 

初日は元奥さんが立派に麻雀を打つ息子を見て「あんたは大学で何を学びゆうが?」って突っ込んでました。

「強さは遺伝しちゅうかね?」って聞かれたので

「親父が強いかどうかわからんき何とも言えんけど、好きさは遺伝しちゅう。」って答えました。間違いない。

 

「明日もたいちゃんらぁとやるけどおまえも来る?」

「行く!」

 

で、2日目は我が家で再会、再開。

ここで、りんの人生初の役満に立ち会う事が出来ました。大三元。正真正銘生まれて初めての役満だそうです。

これは幸せ。麻雀しない人にはなんのこっちゃでしょうが、息子の初役満見れるなんてないで。想像もしてなかった。

 

プロ野球選手が30年間現役続けよったら息子が相手チームに入団してきて初めての対戦で息子の初ホームランを目の前で見る。

これ!この感じ!

 

自分の初役満なんていつどこでなんて覚えてないもんね。

 

立派になりました。

まだまだ成長すると思います。

素敵な学生生活を送ってほしいです。

大学に行かせた甲斐があるってもんです。

 

 

僕に麻雀がなければ初日の飲み会(すみっこで麻雀大会)には呼ばれてないろうし、麻雀がなければ2日目のメンツたいちゃんとこういちとは浪人時代から30年ずっと遊んでないことでしょう。麻雀があるからこそ今の自分を生きていけてます。

そこに入ってくる次男りんくん。

素敵でした。

「好きなことをやり続ける」

「勝とうが負けようが結果は自分が受け入れる」

 

振った時、負けた時にこそ器がバレるきね。

そんなことを学んでくれたらと思います。

 

負けても負けても麻雀したい気持ちが消えなかった19歳の自分(注・浪人生です)を思い出しました。

 

また打とうぜー。

 

過去のりんくんとの素敵エピソード貼っときます。8年前、りん6年生。お時間あればご覧ください。

『なりたい職業』

 

 

 

 

 

パソコン仕事をしていたら工場から水分補給に降りて来た親父さんに「エアコン入れて仕事したら?」って言われました。

炎の前で働く78歳に暑さを気遣われる机の前で働く48歳はさみ屋です。

 

この度全国制覇を果たしました。

ネット通販で鋏を日本全国にお届けし始めて16年。

ついに47都道府県すべてにお届けすることが出来ました。北海道から沖縄まで。

7月末に青森県へ植木鋏を送って達成です。

5月末に青森県から鋏の研ぎ直しの依頼があったので青森にもお客さまは出来ていたのだけれど、この度のご注文によりしっかり達成です。

このことについて以前ブログに書いたことがありました。こちら↓

https://www.hasamiya.jp/blog/6292

2011年6月だから9年前。この時34県。

ペースが速いのか遅いのかはわかりませんが、とりあえず2020年7月に47都道府県達成です。

 

どこからの注文が多いかというと

(件数ではなくお買い上げいただいたお客さまの数で)

①東京都 73人

②神奈川県 61人

③埼玉・愛知 44人

以下、大阪・兵庫・京都・広島・千葉

ここまでが20人以上。

やっぱり都会が数は多いです。

 

さっき紹介した過去ブログに「初めてのご注文!」って書いていた北海道は9年経った今、13人のお客さまがいます。

 

一歩一歩です。ネット通販て言っても魔法の道具じゃない。だからひとつひとつのご注文の積み重ねでしかありません。

その点で言えば頑張ってきました。

(あと大きいのは買っていただいたお客さまがインスタやブログで褒めてくれたこと!これは遠く離れた高知で仕事する職人にとってはものすごく力になりました。口コミです。ネット上の口コミです。ものすごく実感してます。)

 

現在、はさみ屋でインターネットを通じてご注文いただいたお客さまは760人。

そのうち2度以上のご注文をいただいたリピーターさんが244人の方々。

3割2分の確率でリピートしてくださっています。

(この確率がデータを取り始めてから3年間変わらない。新規のお客さまが増えたらその中の3割ちょっとがリピートしていただけています。)

始める前から言うと予想外。

長く使える良い道具を作るべく仕事をしているものとしては、鋏も包丁も次から次へと消費していくものではない。お菓子みたいに食べてなくなるならリピートしてもらうことは大事やけど、って考えてました。

でも、結果は全く違う。

ひとつ買って気に入ってもらえたら「サイズ違いをもうひとつ」や「自分の理想の形をオーダーメイド」とか「鋏が良かったので包丁も」「自分で使って良かったからあの人にプレゼント」みたいなリピートが起こってます。

 

そんなやりがいを直接感じられるネットの直接販売です。

もちろん2回目の注文から10年経つ人。ほぼ毎年注文もらっていたのにこの3年間ご注文のない人。(どこか別の鋏に乗り換えられたのかも。そんなさびしさも実感してます。)

いろいろ含めての数字のデータです,

だから、ネット上にお店を出してもやれることは実店舗と同じ。

見つけてもらう努力。

見つけてもらった時に出来る限り面と向かったお客さまと同じように対応すること。

 

技術も仕上げもメール対応も目一杯。

手を抜くとバレる、嘘つくとバレる時代です。

 

さらけだすしか出来ないはさみ屋にはさらけだすことが強みになる時代で良かったです。ほんとうに。

だから麻雀やタバコやビールや競馬が好きですってことももっともっとさらけだしていきたいと思います。

 

 

47都道府県に行き渡ったことをきっかけにして、また気を引き締めて頑張っていこうと思いますので、よろしくお願いします!

 

 

 

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