鍛冶屋日記

年: 2012年

今日は吾北で『山のそらの森のめぐみ市』に出店。
楽しいイベントながらお客さんは少なめ。久しぶりにのんびりイベント。
あまりに寒かったのでマイスプーン作って来ました。森の恵み。

土曜日の出来事。

少し前にホームページで植木鋏を買ってくれたお客様から再びご注文をいただく。違う形の植木鋏と包丁を一つ。
「包丁はプレゼントしたいのでラッピング出来ませんか?」
ペーパーラボ(いの町の和紙屋さん)へ走る。
町内連携。完成。発送。

香川から植木屋さんがやって来る。
「近所の仲間がここで鋏を作ってもらったって聞いたので来てみた。これ研げる?」
刈込鋏を2丁研ぎ直して1丁お買い上げいただく。

さらにカップルが2組来られてそれぞれ包丁を買ってくれました。
確実に僕より若い世代。

・使ってくれた方にうちの品を誰かにプレゼントしたいと思ってもらう

・使ってくれた人がお仲間に紹介してくれる(しかも県外から!)

・手打ちの刃物の良さが届きにくいであろう若い世代の方に買いに来てもらう

目指すところです。
少し手応えを感じた1日。

特に3番目は大切。
専門的に使ってる植木屋さんとかに見つけてもらうのとは少し違う感触。

普通に町を歩いてそうなおしゃれなカップルにうちの品を選んでもらえたうれしさ。クリスマスプレゼントやろか?

この前は七色ロードで包丁を見てくれた20代前半な感じの若い女の子が後日実際お店に来てくれて「プレゼントしたいので名前入れてください。」って買ってくれたし。

間違ってない気がします。
このままこのまま。

少し作るのが間に合ってないくらいになって来てます。

来年はそこをなんとかせねば。

ボランティアは強制するものじゃないろ…。
「私は無報酬でこんなに自分を犠牲にして働いてますのであなた達ももっとタダ働きしなさい。」っておかしいと思うなぁ…。やってもらいたい気持ちはわかるけどそれじゃ誰も動かん。

「この作業しても少ししか対価は払えません。タダ働きになるかもしれません。でもこういう理由で必要な作業なので、みんなで手分けしてやりませんか?」とか言ってくれると全然違うのだけれど。

ある程度払う財源はきちんとあるし。その作業に対価が払えるようにもっとお金を生み出すシステムに変える必要もあるかもしれん。

そんなこと言うと「何言ってんの?」って変な人扱いされる場所なのでここ2年くらい黙ってました。出来るだけ波風立てないように。
そしたら自分が自分じゃなくなってきて、どんどんその場所がつまらなくなるので次こそは言います。それで辞表を出すことになっても悔いはない。

自分が属するいくつものグループや活動の中でそこは唯一直接稼ぎに繋がる場所なのだけれど。

その場所をより良くしたいと思って加入して数年間は意見言って戦ってました。けれど、そうじゃないって理由の説明も説得も無く、ただため息つかれて、「はいはい…、またですか…。」みたいな空気を流される。(議論して戦って納得させてくれたら言うこと聞くのに。たぶん誰より動くのに。)
周りの誰も味方してくれなくて(敵にもならないのだけれど)、やる気なくして意見を言わなくなって義務付けられたことも忙しさを理由にサボってしまって。どんどんダメになる。

でも、仕事をくれるからフェードアウトも出来ない。

いかんよね。

ここを耐えるのが大人ながやろうにゃあ…、お金になるし、って思って黙ってやり過ごしてきたけれど。

どんなに分からず屋扱いされても違うと思うことは違うって言うべきや。今更ながら。

来年は退場覚悟で暴れることにします。

向こうからしたらさぞかし「めんどくさいヤツ」やろうねぇ。

でも、やる。

「無防備な夢想家」ってフレーズを聞いたけど「無防備な理想家」の方がいいと思いました。

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14日の金曜日は七色ロード実行委員会の忘年会でボーリングに行ってボーリング場の駐車場で41歳の誕生日(午前0時)を迎えました。みんなから「おめでとう」をいただく。

土曜日の誕生日当日は家族で焼き肉を食べに行って、ごはん「大」を2杯ずつ食べる中学生男子2人と「中」しか食えないなりたて41歳との勢いの違いを見せつけられる。焼き肉を食べるのにごはんがいらない奥さんは生ビールを大か中かで悩んだ末に「大」を注文。結局「中」をおかわりすることになるのだけれど。
もちろんその後バースデーケーキあり。満腹。

昨日の日曜日は帯屋町のおかみさん市に出店。よく売れました。
場所代を集金に来たおかみさん市のお世話役さんから年末30日も出せることを聞き、つい「出店します!」って言ってしまう。12月の日曜日はこれですべてお仕事で埋まる。

先々週の七色ロードのために出店者や商店街のみんなで揃えた黒板を帯屋町でおひろめ。

さっそく「次回出店は12月30日(日)」って黒板で告知。年末は砥ぎ直しがどっさり来るにちがいない。

それからいつもより少し早めに店じまいをして4時半から同窓会の準備会へ。2時間会議してそのまま忘年会へ流れる。
途中一人の女の子が持ち込んでくれたバースデーケーキがテーブルに届きました。

ろうそくを吹き消す前に「じゃあ41歳の抱負を。」ってふられたので「ちょっと長いスパンの目標でいい?」って確認してから同級生9人の前で宣言してきました。

「あと3年半のうちに高知で一番の刃物屋になります!」

言っちゃうの得意です。
言ってしまうとやらんといかんなるしね。

期間が微妙なのは1年半前に「あと5年で」って決めていたから。

「何を持って一番て判断するが?」って聞かれたけれどそんな基準はないので

「『あそこのは良い!切れる!』ってみんなの耳に届かせます。」って。

「一番」て言うわりに「高知で」とか「刃物屋の中で」とか範囲がちっちゃいなぁとは自分でも思いますけど、今は全然届いてないのでとりあえず3年半、がんばります。

そんな41歳のスタートでした。眠たい。

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いろんな集まりに参加していろんなことしてますが、所属していることでお金を産み出す場所の活動ほどつまらない。ものすごいただ働きして全然お金にならない場所ほど楽しい。
前者は義務になってしまいました。初めからそうだったわけではないけれど。
そしてこっちが楽しければ楽しいほどあっちがつまらなくなる。残念。
この状態を解消することも今の目標。

先週、教え子ありさとの最後の授業がありました。

彼女のお兄ちゃんからお姉ちゃんを経て続いた兄妹3人に勉強を教えてきた13年間の家庭教師の日々が終わる時を迎えました。感慨深いものがある。

進学先も決まり卒業もほぼ確定で、最後の授業は推薦で決まった進学先の短大から課された数学の課題プリント。

その中に「少数第一位を四捨五入して整数で答えなさい。」って問題があって、計算で出た答えが「13.5」。

「はい、四捨五入してください。」

「んー、13?」

「おーい、じゃあ13.4を四捨五入したら?」

「13。」

「13.7は?」

「14。」

「13.5は?」

「…。」

「あのよー、ししゃごにゅうって四捨五入って書くがで。」

「そうながや!5はどっちでもいいって聞いたのに!」

誰に…?

俺は今まで何を教えて来たがやろ…。

最後の雑談で彼女の姉かれん(京都で短大生してます)が来春短大を卒業することを思い出し、

「かれんは高知に帰って来るが?就職決まった?どうするが?」

「婚活するって。」

素敵な姉妹。

楽しい時間をありがとう。

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『七色ロード~夢色の巻』終了。

心配していたお天気もお昼過ぎまで雨落ちず。曇り空。

でも、人間は贅沢なので、前日は「なんとか持ちそうやね。朝から降るのと午後から降るのでも全然違うきね。」なんて言ってたのに、当日の曇り空に「さむいー。ちょっとでもお日様出てくれたらねぇ…。」なんてことを言う。

それでもお昼前後にはお客さんもたくさん来てくれてなかなか賑わってくれました。

今回はがんばりました。やり切りました。疲れました。

土曜日の午後から準備に出て商店街を走り回って町内の子供たちが書いてくれた夢を載せた夢色電車を並べたり、のぼりを立てたり。

日が暮れてから七色餅と七色だんごを蒸してこねてちぎってまるめて帰り着いたのが夜11時。それから孤独に七色のミッションのエントリー用紙を作って1時就寝。

当日は6時半集合なのに6時半起床。
7時に着いてこっそり準備に紛れ込んでテントを立てたりある施設のオープニングの神事に出たり。で、10時からイベント開始。

商品は一つも売れてません。
七色のミッションも一人も来てません。

かなり本末転倒なのでここはきちんと見直します。
自分にとって大事なことを後回しにし過ぎました。優先順位。

2時頃に降り出した雨で片付けはびしょびしょ秘書。

でも一年かけて少しずつ少しずつ増えた仲間みんなの力を合わせて6時頃には片付けも終了。

昨年12月の第1回目の七色ロードにはいなかった顔が、前回7月にいなかった顔も、いっぱいいっぱい動いてくれました。『七色チーム』楽しい場所です。素敵な仲間です。この財産は大切に、また少しずつでも共鳴する仲間を増やして行けますように…。

「楽しくやってれば仲間に入りたくなるでしょ」って信じて楽しくしんどいことをやり続けたいと思います。

どれくらいがんばったかって言うと、月曜日は膝から下が表も裏も(むこうずねもふくらはぎも)足の裏も筋肉痛。

ケータイの万歩計は
土曜日が14000歩
日曜日は19000歩

よく動いた。

スタッフのみなさん本当にお疲れ様でした。しっかり反省会してしっかり飲んで次に向かいましょう。

曇り空で寒い中遊びに来てくれたみなさま本当にありがとうございました。

七色ロードは来年以降も続けていくつもりですのでこれからもよろしくお願いします。

次こそはピカピカに晴れますように…。

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「上司」になってみたいです。課長とか。

先日、商工会さんから電話がありました。

「12月23日空いてない?吾北で林業組合のイベントがあるけど、出店しませんか?」

「出ます。」

これで年末まで休み無しが決定。

12月2日(日)
七色ロード(いの町商店街)

9日(日)
ZAKURIのイベント(土佐山田)

16日(日)
おかみさん市(帯屋町)

23日(日)
吾北

本当に上手に放り込んでくれます。

「時間が自由になる人は忙しくなる!」ってことにようやく気づき始めました。

とりあえずは今度の日曜日の『七色ロード』。

主催者側の立ち位置もあるので成功させたい。みんなでがんばって準備してます。まだまだしなければならないこともいっぱいあります。
もう、自分とこの売り上げなんて考えてなかったりして。

晴れますように。
(週間天気予報では降水確率50%…)
雨を引き寄せる『七色チーム』本領発揮。

もう一回言います。

「晴れますように。」

遊びに来てください。

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金曜日
岡山からお客様。以前にも一度ご来店いただいたことのあるナイフ作りが趣味の方で鋼材(鋼と鉄をくっつけたモノ)のご注文をもらう。
「これから宿毛へ釣りに行くんやけど、その前に寄ってみた。」
しかもおみやげまでいただく。きびだんご。

土曜日
和歌山からのお客様。
「道の駅で見たんですけどお店まで来てみました。」で、お刺身包丁をひとつお買い上げ。
『くらうど』さんのアンテナショップぶりはすごい。どんどんお客さんを連れてきてくれます。

さらに、神戸からのお客様。若い植木屋さん。
「神戸で働いてるんですけど実家が徳島なんで。ホームページで見てて買いに来ました。」
お目当ては刈込鋏だったみたいですがひとつ小さい植木鋏を見つけて「あ、これ欲しい。」って。どっちにしようか悩んでましたが、最初の目的通り刈込鋏をお買い上げ。はさみ屋は逃げないのでまた来てください。お電話くれてもお送りします。

facebookを覗いて「あー、みんな休みか。」ってねたんでひがんでだいぶ斜めから3連休を見てましたが、3連休だからこその遠方よりのお客様。世間の休みに感謝です。

旅の行程に組み込んでくれたり、旅先で偶然見つけてくれたり、鋏を目指してわざわざ来てくれたり。

休んでられませんなぁ。

あ、本日日曜日は休み。
朝6時起きでソフトボールを3試合。

あー、休んだ休んだ。

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受験生の涼太くん。うちの長男。

ある高校を目指してます。

ひと月程前に体験入学に行ってサッカー部の練習にも参加。顧問の先生にサッカーの腕前(足前か)を褒められ

「うちに来いや。一緒にサッカーしよう。」の素敵な一言をいただく。

先生だけじゃなく先輩方にも良くしてもらったらしい。好かれキャラ。

このサッカー部の雰囲気が涼太のやる気に火をつけてくれました。

自分の学力と相談してなんとなく受ける学校を考えていたのがちょっとランクアップのこの学校に目標変更。

で、先日中学校の進路相談の三者面談。志望校は決まったものの、それに向かって努力はしてるものの
(本当に自分の部屋で机に向かってたりするのでびびります)
「ランクを下げるように言われるかもね。」ってお母さんと話しながら臨んだそうです。

そこで担任の先生のお言葉。

「今の時点で点数は足りてません。でも、ここに行きたい、ここでサッカーしたい!って思いは伝わるし、実際それ以来、授業態度もすごくマジメになりました。他の教科の先生からの評判もすこぶるいいです。今からの努力は必要やけど、受けてみたらどうですか?」

今まで悪ぶってチャカチャカしてたのがちょっとやる気を見せると激変に見える。もともと真面目な子には使えない武器。さすが。

『受けてみたらどうですか?』

いい響き。

晩に涼太と握手しました。
「おめでとう。志望校受験の許可が下りたそうで。」

本当にこいつは自分で見つけて自分で切り拓く。どんどんどんどん大きくなる。勝手に。

『好きなこと』があるって強い。
それがあることによって違うとこでも努力出来る。目標に向かって努力したなら結果なんてどうでもいいじゃんね。

がんばれ。

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前回書いた記事「スペシャリスト」の内容をちょっと反省してちょっと書き直しました。

きちんと考えて丁寧に仕事をしている職人さんに出会った興奮と挫折感から「片刃の包丁に関してはこの人の品を仕入れて売った方がいいかも。」って書きましたが、その部分を削除。

はさみ屋が作った包丁を求めてくれるお客様もおるはず。
丸投げしてはいけない。
逃げてはいけない。

ひとつのことを専門的にやってる人にはある部分では追いつけんかもしれんけど、自分は自分なりに努力して良いモノを作り出していかんとね。

そしてそういう品や心意気を選んでもらえるように他の部分もしっかりやる。
そう思い直しました。

先日、刃物まつりで片刃の出刃包丁を買ってくれたお客様がはさみ屋まで来てくれました。
奥さまが普段使ってる包丁の砥ぎ直しに。津野町から。

香美市のイベントで出会えた津野町のお客様がいの町の工場まで来てくれた。

刃物まつりは出店料もまあまあ高いのでその場での売り上げも大事やけど、そこからどう後へ繋がるか、の方が大切。売りっぱなしはさびしいし、売りっぱなしはもったいない。

あの時買ってくれた包丁やあの時の会話や砥いでる僕の姿やお渡ししたはさみ屋チラシがあったからわざわざ来てくれたはず。

全部あるからこその結果。うれしかったです。

楽な道を選んではいけない。

「なんでも作る。なんでも直す。」は、やめません。

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一昨日の月曜日の午後、本物職人さんに会って来ました。
僕より少し年下の片刃の包丁の砥ぎ師さん。
鍛冶屋さんが打って焼き入れまでした半製品を砥いで仕上げるお仕事です。
片刃の包丁は鍛造と砥ぎ(仕上げ)が分業になってます。

仕事の依頼で訪ねたのですが、すっかり話し込んでしまいました。
会うのは2年振り。あの時は駆け出しだったのに見事な成長を遂げられてました。忙しそう。

本気の人は魅力的。
大きな大きな刺激をもらい、それと同時に絶望感に近い自分の限界を突きつけられた感じ。

「ひとつのことだけ極めようとする人」と「いろいろやる人」の違い。

包丁の切れ味と仕上がりの美しさ(機能美)ただそれだけを考えて生きている人。
お客様への対応や売りに行くのは奥さん、プロデュースも奥さん、商工会の活動も奥さん。
(女性ならではの感性で素敵な売り方を実践されてます。写真見せてもらったけれど素晴らしかった。)

一方、はさみも包丁もナイフも刃物ならなんでも作りますよ!って人は、自分で売りに行くし、はさみ屋チラシも自分で考えて自分で両面コピーして自分で三つ折りにする。それだけじゃ飽きたらずに中学生に放物線のグラフの書き方を教えたり、バニーアイズ(ソフトのチーム)の面倒みたり、同窓会の企画会議に毎月出たり。まちかど市の会長もやるし、七色ロードの準備もしたいし、コローザも包む。
(ホームページのオーダー対応は奥さんがしてくれます。PC苦手。)

秘書欲しいなあ…とか思うけど、きっと「任せる」ってことが出来んがよね。

もちろん全部楽しみゆうし、好きでやりゆうし、結局全部やりたいわけで。それが仕事や未来に繋がると思ってやってます。
でも、いろいろやる人が一番おろそかになっちゅうのは「技の探求」ながやろうにゃあ…、ってあらためて確認させられた感じ。
何にも削れんがやけどね。

優先順位、調整、ちょっと無理する。それしか出来んし、自信を持ってそうして来ました。向き不向き。

でも、やっぱり、スペシャリストのすごさ、かっこいいなぁ…って。

教われることは教わって活かして行きたいけれど、この分野では追いつけんろうね。

なかなか刺激的な時間でした。

「ゼネラリストとスペシャリスト」

永遠の深いテーマ。

「ヒゲとボイン」みたいなことですね。手招きされます。

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