鍛冶屋日記

年: 2012年

「スランプ、スランプ言ってる人ほど絶好調の時がない。」

先週ラジオでFM高知の岡本さんが言ってた教訓。
聞いた瞬間ニヤリとさせられたけどじわじわ染みて来ました。気をつけよう。

日曜日は毎月一度の帯屋町での売り出し&砥ぎ直し。

知り合いの鍛冶屋さんが通りかかって声をかけてくれました。
「売れゆうかえ?」
「今日はまだ売れてない。砥ぎ直しばっかり。」
「そりゃ、合わんねえ…。」

合わんがやろか?
確かにその一日だけ見れば休み削ってなかなか売れんのに商品並べて立ちっぱなしで包丁砥ぎ直して500円ずつもらう。合わんねぇ。そう考えたら俺、合わんことばっかりやりゆう気がします。

それから一人の男の人に「こんにちは。」って声を掛けられました。

「ん?誰?」って戸惑ってたら

「キリンです!」

うれしいなぁ…。
刃物まつりでナイフを買ってくれたキリンさん。通りかかって声を掛けてくれる。本当にうれしい。気付けなくてごめんなさい。
詳しい理由はこちら

合う合わんじゃなくてこういうことやろ、って自分で納得。

そのあと、一人の若い奥様が包丁を見てくれてました。
「さっき試し切りしたんですけど、どれもあの切れ味ですか?」

「はい。全部この砥石で僕が同じように仕上げてますので。」

「じゃあ、これ下さい!」

「ありがとうございます。」

「テレビに出てましたよね?」

「あ、はい!出ました。昨日。」

「やっぱり。ちょうど包丁欲しいなぁって思ってたんですよ。」

たまたま包丁欲しいと思ってる人が、たまたまテレビではさみ屋を見てくれて、その翌日にたまたま帯屋町でそのはさみ屋のお店を見つける。試し切りがあるのでキュウリを切ってみる。切れた。だから買う。

細い細い糸やけどその細い細い糸を出来るだけたくさんの方向に撒き散らす。

んで、すごい確率で繋がった糸を商品の力やらアフターフォローやら自分の応対で少しずつでも太くして行く。

それでえいでね。

.

この前の日曜日サニーマートに行くと店員さんがみんなハロウィンのコスプレしてました。

「あー、ハロウィンかー。」って思いながら買い物してるとこんな場面に遭遇。

上司らしき人が部下らしき人にPOPの内容について注意してました。
「これでいいの?伝わるの?」
「はい!すぐに直します。」

注意する人される人、2人とも魔法使い風の黒い帽子に黒いマント姿…。

もう少し季節が過ぎればトナカイがサンタさんにお説教する場面に出会えるかもしれません。

家に帰ってりんくん(中1)に
「凜、ハロウィンや。」
って言ったら

「とりっくおあとりーと!」
って勝ち誇った顔で何かくれ!って手を差し出してきたので

「じゃあ、イタズラで。」

「ん?」

「どうぞイタズラしてください。」

って言いました。

凜「そうきたか…。」

「or」ってそういうことやろ。選択権はこっち側。

(お知らせ)
明日テレビに出ます
土曜日朝9時25分からの『じゃらん!2モーニング』

よろしくお願いします。

.

刃物まつりでうれしかったことその二。

大学生くらいに見える若いカップルが紐巻きナイフに立ち止まりました。こんなやつ。

女の子の方が木工細工か竹細工に使いたいらしい。

いろいろ説明して、じっくり見てもらって、また他のお店に旅立って、あちこちの刃物屋さんをぐるっと回ってからまた戻って来てくれました。

「よし!たぶん買ってもらえるぞ、あとはどれにするかやね。」って感じになりました。

でも、なかなか決まりません。
そこで彼女の雰囲気を感じ取ります。

「形はこれがいいけれど、紐の色はあっちがかわいい。」

使い勝手をとるか、見た目をとるか。どちらを妥協してどちらを優先するか。悩んでる様子。

ふと紐のストックを持って来てることを思い出し、声を掛けます。

「もしあれやったら、紐を巻き替えようか?」

「本当ですか!?」

「うん。紐持って来ちゅうき替えれるで。」

「じゃあ、このナイフにこの緑の紐でお願いします!」

メーカーやきね。
その紐全部俺が巻いたやつやきね。
時間さえもらえたら外して巻き直すなんて簡単なことです。

自分の用途に合う形にお気に入りの色の紐が巻かれたナイフを買ってもらうことが出来ました。

うれしそうな笑顔が見れてよかったです。

可能な限りお客様のご要望に添ったものを提供する。そのために出来ることはする。
(もちろん出来ないこともあるけれど。)

これもまた作り手の喜び。

こういうのを糧にまた日常の仕事です。
ちょっと疲れた。

.

脇から入りたがってる車に道を譲ったらその車が青森ナンバーで「いいことした感」2倍。

刃物まつりでうれしかったことその一。

初日の土曜日の朝、商品並べて準備が整ったところで「よし!ビール!」って思って酒屋さんのブースに行ってキリンやアサヒやノンアルコールが氷水にプカプカしてる中「ラガーください!」って朝一で飲みました。そして、もう一本おかわり。

その後、お昼過ぎだったと思います。
一人男性がカシューナイフを見つめてたので声を掛けました。
作った本人お気に入りのナイフ。こんなやつ。

「どうぞ持ってみてくださいね。」

「いいっすねぇ…。ちょっと仕事しながら考えます。」

「ん?」

「僕、松尾酒造さんのブースにお手伝いに来てるKIRINの人間なんですよ。迷うことなく『ラガー!』って言ってくれてうれしかったです。」

はさみ屋Tシャツと頭に巻いたタオルで「はさみ屋」=「ラガーの人」って認識されてたみたいです。朝一やったし。
そんで、そのラガーの人が刃物を売ってるブースを見つけて覗いてみたらしい。

「やっぱりこれ買います!」

「ありがとうございます。」

これもブランド背負って動く意味にちがいない。

僕がドライ派やっても買ってもらえたろうか。
そう考えると引きが強いね。

ビールを飲んだらナイフが売れた。素晴らしい。

.

「気概であって学歴ではない。熱意であって建前ではない。」
(『神様のカルテ』より)

土曜朝のローカル情報番組『じゃらんじゃらんモーニング』さんがはさみ屋に来ました。

新高梨の直販が盛りの針木の梨屋さんの取材に来たついでに近くのお店に寄ってみようってことらしく、たまたま見つけたはさみ屋へ入って来てくれました。本当にいきなりふらっと。

「こんなとこに鍛冶屋さんがあったんですね。」

引きが強い。
そして新高梨に感謝。

前回のテレビ取材の時は全部カットされて親父さんしか映ってなかったけれど、今回は映ってるはず。

放送は少し先、11月3日(土)だそうです。なかなかもったいぶられます。

明日から2日間は3週連続売り出しの締めくくり『刃物まつり』に行って来ます。

しっかり準備して臨みたいと思います。

現在、県内各地で『土佐の豊穣祭』が開催されてます。

あちこちの既存の秋祭りを「食」に注目して連動させて売り出す作戦。

この前いのの仲間とコローザを焼いた『神楽と鮎と酒に酔う』も、毎年出店してる土佐山田の『刃物まつり』も組み込まれてます。

豊穣祭の中の2つのイベント(仁淀川と物部川)に出店者として出るやつもなかなかおらんろ、って意味の無い小さな優越感を感じておりました。

そんな中、はさみ屋の品を並べてもらってる高知のアンテナショップ『てんこす』さんに納品に行くとスタッフさんに声を掛けられました。

「笹岡さん、20日・21日空いてませんか?」

「何があるんですか?」

「帯屋町でやる豊穣祭に出ませんか?」

「その土日は刃物まつりに出るがですよー。」

「あー、そうか、残念。」

「また何かあったら声掛けてください。」

って帰って来ましたが、本当に残念。
かぶってなければ出るのに。豊穣祭3つ目やったのに。連動してるくせになんで2つが同時開催ながよ。

打率、打点は穫ったけどホームランはあと2本足りんかった、手が届くとこにあったのに、って気分。

でも、そういう風に「イベントあるけど出ませんか?」って声を掛けてくれたことがとってもうれしかったです。
取引先全部に一斉に打診した訳でなく、たまたま来たはさみ屋を見つけて「こいつなら出るかも!」って思ってくれたにちがいない。
(あちこち打診して断られて最後の方にやっと順番が回って来ただけかもしれんけど。勝手に良い方向に考えるのが得意です。)

チャンスの度に顔出してればこういう風にまた次のチャンスを与えてくれる人に出会えますき。それがうれしい。
何か伝わりづらいかもしれんけどめちゃくちゃうれしい出来事でした。

さらに昨日、帯屋町のおかみさん市で包丁砥いでたらお世話役の方にも誘われました。

「笹岡くん、来週も来れん?」

「刃物まつりが…。」

「そっちはお父さんに行かせてこっちに来たら?」

「そういうわけにも…。」

またまた残念、そしてうれしい。

俺、もう一人おらんかにゃあ…。

来年はお街の豊穣祭と刃物まつりの日程をずらして開催してください。

トリプルクラウン目指します。

秋の便りが届きました。

「咳喘息」

あー。

中間テストが近付いて来て3ヶ月振りに呼び出された教え子ありさと英語の勉強。

『serious』

「読んで。」

「んー。」

「シリアス。意味は?」

「んー、あ、乾燥した食べ物!」

「それはシリアル。」

「あ、そうや!」

「お前俺じゃないとなかなかこんなに的確につっこんでもくれんで。シリアスな芝居とかシリアスな場面とか聞いたことない?」

「ない。」

じゃあ仕方ないね。

3ヶ月目を離した隙に高3の彼女は車の免許を取得して、推薦で短大進学が決まってました。

めでたしめでたし。

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「最近ブログの更新がないにゃあ。」って人はfacebookにおる!の法則。

予告通り岡山の『京橋朝市』行って来ました。

仁淀川流域の市町村からトマト屋さんや和紙屋さんや役場の方々と一緒に行ったのだけれど朝3時半にホテルのロビーに集合なのに、起きたら3時25分でした。
歯磨きしながらタバコ吸いながら顔を洗って10分遅刻。ごめんなさい。

会場は昨年同様すごい人出。

朝の5時からお客さんが来て包丁が売れる。
6時でこの有り様。

その後ピークを過ぎてお客さんもまばらになった9時頃にうれしいエピソード。

お隣のブースが鳥取米子から来た魚屋さん。日本海のノドグロやサバやイカが飛ぶように売れていきます。

お客さんとのやり取りが聞こえて来ました。

「おっちゃんが捌いてくれたら買う。」

「包丁がないわー。」

口を出してみる。

「ここにありますよー。」

買ってくれ、ではありません。うちには試し切り用の自由な包丁が存在します。

魚屋さんも遠慮してましたが、(魚捌く出刃包丁ではなく万能包丁だけれど)進んで貸し出し。

流れに乗ってはみたもののプロに使ってもらってどういう反応かちょっとドキドキ。

見事な包丁捌きでサバの頭が落とされてあっという間にブロックになりイカの皮が剥がれます。

「切れる切れる!切れすぎる!」

って言ってもらえました。

後で見てみると刃の薄い万能包丁なのでやっぱり骨に当たったであろう所は少しダメージを受けてましたが欠けることなく帰って来ました。
(骨切る時は出刃包丁でお願いします。)

魚屋さんと刃物屋のコラボレーション。
すごいアピールになる!

もっといろんなところで使えんかにゃあ…。

考えてみよう。

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「カレンチャンだけを見ながらレースしました。」

先日のスプリンターズステークスでカレンチャンを差し切った岩田騎手のコメント。
字面だけ見ればアスリートとしてそれでいいのか、って感じの素敵な一言。

はい、売り出しの季節がやって来ました。

10月の予定

7日(日)
『岡山京橋朝市フェア』

今年も参戦です。
明日出発して日曜は午前3時半起床。4時半から売ります。
いの町の和紙屋さんや生姜農家さんも一緒です。バス旅行気分。
昨年かなり面白かったので今回も楽しみです。
昨年の様子はこちら。まずまず売れたしね。

14日(日)
帯屋町にて『おかみさん市』
毎月の出店ですが、今回は岡山遠征のため2週目にずれます。

20日(土)21日(日)
『刃物まつり』香美市の鏡野公園にて。
昨年から売り方を変えたのでその結果がほんの少しでも見えることを期待…。

この3週連続の売り出しに向かって作り込みして来ました。だいたい目指すとこまで来れましたが、明後日の岡山には間に合わないものも数点あり。

刃物まつりまでにはラインナップも揃うはずです。

それまでに売れて無くなるものがあったりして…。

そんな夢を見つつも、その後また作ることを思うとちょっと萎えたり。
じっとしててお金が入ってくるシステムはないものか。

でもその繰り返しです。
作って、買ってもらって、ごはんを食べる。んで、また作る。

休みの日って必要なのか?とすら思う今日この頃。

乗り切りたいと思います。

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いの町商店街で継続的に開催している『七色ロード』は前回より『七色塾』なるものをメインのイベントに据えています。

七色塾とは

「各商店主が先生になり、専門知識やプロならではのコツを無料で提供し、お店の特徴・店主のこだわりや人柄を知ってもらって、お客様と信頼関係を築くことを目的とする。」

というものです。

つまり、まずは売り買いの発生しない所でお店とお客さんの出会いのチャンスを作り、お店のファン、商店街のファンになってもらうためにがんばっていきましょう、って取り組みです。

7月に1回目をやって概ね好評。次回は12月2日。

先生としてのスキルアップと講義内容のブラッシュアップ、また新しく挑戦してみようという商店主さんへのデモンストレーションを兼ねて、実行委員がお互いに先生、生徒になって模擬講座をやってます。

話聞くのめちゃ楽しい。

最初のチャレンジャーは植木屋さんとクリーニング屋さん。職人ストリートの若手のホープの二人です。

「枝が伸びて道にはみ出して困ってる植木の対処法」

「Yシャツのアイロンの掛け方」

簡単そうに話すけど自分でやれって言われてもなかなか大変そうやにゃあ、って感じたので最後に2人に質問しました。

「それやってもらったらおいくら?」

植木屋さん
「落ち着かすには3年はかかります。一回行って5000円。それが3回ですね。」

クリーニング屋さん
「洗ってアイロンピシッと掛けて300円。」

これを聞いてすごいことに気が付きました。

身近に役に立ちそうな知識や技を職人さんから詳しく丁寧に教えてもらった結果(もちろん教える側も「こうすれば自分で出来るきやってみてね!」って気持ちで話してくれてるはずなのに)、頭に浮かんだのは

「プロであるこの人達に頼もう。」

でした。

もうほんとに完全に罠です。羊のふりした狼です。すごい…。

次回七色ロード12月2日(日)いの町商店街にて

「包丁の砥ぎ方教えます。」

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