鍛冶屋日記

月別: 2008年10月

今朝はビーサンでの出勤をあきらめました。

「五日目」
ここでバラつきのある形を一本一本揃えます。

見本に合わせながら肩の張りや足の曲がりを直します。金槌でコツコツ叩いて見本と合わせてまた叩く。時間掛けすぎってよく怒られます。
「いつまでやりよらぁ!」

形を合わせ終わったら足の長さを切り揃えます。穴を基準に。
次にまた火の前。
切った足先(写真左)を焼いて金槌で叩いて尖らせます(写真右)。

もう五日目終わった。なかなか進まんもんです。

この前大阪に住む妹にお誕生日おめでとうメールをしたついでに「ブログまた書きだしたき。」って言ったら返信に「続きゆうねぇ。携帯持って元来の筆まめさが顔を出したか。」って。

ん?俺、筆まめやった?って一瞬戸惑いました。年賀状も書かんのに。

そういえば学生の頃は妹やったり当時の彼女によく手紙書きよった。
働きだした頃も大学の後輩とか、後に奥さんになる人に書いた書いた。

そんな事を思い出したら「元来の筆まめ」も少し納得。

けど手紙ってもう10年くらい書いてないなぁ。

10日程あごのヒゲをそってません。

「四日目」
火造りで形ができたので穴を開けるところを決めて印を打ちます。これも目見当。上過ぎる下過ぎるってよく注意されました。(写真左)
そこにドリルで穴をあけます。(写真中)

この穴を基準にして頭の長さを決めて切ります。(写真右)
切り落とすと、少し刃先がゆがんだり曲がったりするので、もう一回平らになるように焼かずに叩きます。

ここから整形。
刃を真っ直ぐに削ります。

次に刃の裏側をすります。
鉄粉まみれになって
四日目が終わりました。

昨日、仕事場=実家にアメリカンな保険屋さんから新商品の紹介の電話がありました。
仕事中やし、めんどくさいなぁと思いながら、自分の家ではないし、母も不在だったので
「ちょっとわからないんですが…。」って言いました。
そしたら

「あ、息子さんですか?」

「はい。」

「学生さんですか?」

「はい。」

「じゃあ、また掛け直します。」

36歳10ヶ月、電話の応対無事終了。

12年ぶりに『るるぶ』を買いました。旅に出ます。

「三日目」
鋼と地金がくっついたので、頭の部分を、またベルトハンマーで伸ばします。薄くし過ぎないように長さを出します。それから刃になる方を少しつぶして薄くします。(写真左)
次は「肩出し」。

今度はコークスの炉で肩になるところを焼いて、金槌で叩いて、写真のように形を作ります。
一番難しくて苦労した工程かも。ダメ出しも一番多かった気がする。

その後また頭の部分を軽く焼いて、金床(鋼の台)の上で刃の裏側が平らになるように金槌でならします。

こうやって書きよったら、焼いて叩いてばっかりや。
ここまでが「火造り」という作業。だいぶ形になってきました。

はい、三日目終了。

このブログに再登板して一ヶ月。けっこう身近に見ゆう人がいることに驚いております。
一番反響があったのはやっぱり「なんで家庭教師クビになったが?」「教え子に手ぇ出したかえ。」

出したら書かんき。

なんでかっていうたら
「勉強以外の事を教え過ぎた。」ってことやと思う。
って書いたらまたあやしい感じになるのでもうやめちょこう。

この問題が解けたら教えます。

次の二次関数のグラフの頂点の座標を求めよ。

『Y=Xの2乗-6X+8』

高校一年生の問題。
どうよ。

あの子は中間テストできたろうか…。

今日帰ったらりんくん宿題してませんでした。
びっくりしました。

「二日目」
前日最後に伸ばした鋼を程好い長さに切ります。

鋼は刃物の切れる部分。両刃の刃物なら中に挟み込みますが、鋏は片刃なので片面にペタッと貼り付ける感じです。

足を伸ばした地金に魔法の白い粉(こいつが鉄と鋼をくっつけます)を振りかけて、その上に鋼を乗せます。(写真左)
それをコークスの炉に入れて焼きます。(写真中)1200℃~1300℃にするということですが、目分量です。温度が高過ぎると溶けてしまうし、低すぎるとくっつきません。
で、よしっていう時に取りだして金槌でバンバンバンって叩きます。これでくっつきます。(写真右)
でも、くっついたふりして先とか元とか途中とかがついてないのがあります。これがキズです。研いでみないと分かりません。キズが出たらクズ鉄になります。今回みたいに200本やってればいいですが、特注品なんかを1丁作っててキズが出ると泣きそうになります。初めからやり直しですから。

これが「鋼付け」とか「沸かし付け」とか「鍛接」と呼ばれる作業です。
一番大事で一番熱い仕事です。
良い季節になりました。

二日目終了。

うちの次男。
3年生・サッカー少年なのにジャイアンツの小笠原が好き(CS勝った時胴上げしてもらいました)・右投げ左打ち・無邪気・宿題しません・ぶちこけても怒られても泣きません。

そんなりんくんが今朝行方不明になりました。10時半頃、先生から学校に来てないという連絡が。朝はちゃんと出たのに…。

30分後確保。
家に帰ってました。
彼なりに理由がありました。宿題やってなかったと。先生に怒られるのがいややったと。

きちんと話し合ったのでもう責めないでやって下さい。一緒に反省しました。そっと見守ってあげて下さい。
さすがに泣いてました。

なかなかやってくれます。

まぁ、無事でよかった。

「寒いー。」って言いながら集金に来たJA職員である小学校の同級生がTシャツ姿の鍛冶屋を見て「…バカじゃない?」って言いました。
火ぃ焚きゆうき。

「一日目」

まず材料を適当な大きさに切りました(写真の右)。極軟鉄という材料で地金になる部分です。200本切ります。鋏はそれで100丁分です。損した感じ。

それから、切った材料を焼いて、足の部分をベルトハンマーで丸く伸ばします(写真の左)。くるくるくるくる伸ばします。
ベルトハンマーはこれ。足で踏み込むとダンダン叩いてくれる機械。この左側にガス炉があります。

その後、鋼(ハガネ)を焼いて、使う大きさに合わせて伸ばします。花鋏の鋼は小さいです。

ここで一日目終了。

ちょっと、ケガしたり遊んだり飲んだりばっかりになっているので、お仕事の話。

「鍛冶屋です。」「はさみ作ってます。」って言うと時々「一つ作るのにどればぁかかる?」「一日で何丁できる?」って聞かれます。芸術家ではないので一つ作ってまた一つって作り方はしません。なので答えに困ります。その謎を解いてみようと思います。

先週の金曜日から生花鋏を100丁作り始めました。作り方を説明、紹介しながらいつできあがるか検証してみます。他の製品の工程が入ったり、研ぎ直しの時間があったり、さぼりたくなったりするのでだいたいの目安ですけど。

出来上がりはこの写真。
では、次回から不定期連載「花鋏の作り方」
やってみます。

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