鍛冶屋日記

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昨日、涼太くんの中学校で「親子ドッジボール大会」がありました。学校行事。

保護者チームは三連敗であっさり予選リーグ敗退、涼太くんのクラスは決勝進出!

決勝進出の2チームが整列して、さぁゆっくり決勝戦を観戦、息子の応援しよう、ってところでマイクを持った先生が怒り始めました。

「大変残念なことが起こりました!」

「なになに?」って思って聞いてたら

「この中に卓球部のピンポン球を勝手に取って来て遊んでる人がいます。今ピンポン球を持ってる人はすぐに○○先生に渡して下さい!大会中止になりますよ!」

誰なやー、って思いながら先生の視線の先を見るとまず目に入ったのは陸人(鴨田FCOB)が隣の子にピン球をなすりつけてる姿。ずるい…。

それから健太(鴨田FCOB)が立ち上がり先生にピン球を渡しに行く。翔(鴨田FCOB)が、翔悟(鴨田FCOB)が先生にピン球を…。先生の怒りの標的の8割は知ってる顔でした。

おいおい…涼太の元チームメイトだらけかや…。(残念ながら涼太は決勝進出のためこの事件には無関係。)

「さすがやにゃあ、鴨田FC。あのメンバーのうちの一人になりたいにゃあ…。」って思ってたら僕のすぐ後ろにいた直樹(またまた鴨田FCOB)がこっそり話掛けてきました。

「ねぇねぇ、涼太の父さん。あのピン球最初に取って来たがぁ俺ながよね…。」

「おまえのせいか!」

「うん。あそこの倉庫から20個ぐらい取ってきた。」
ってはにかんだ笑顔で言ってきます。

もうその口調が

「先生はあいつらを怒りゆうけど本当は悪いがは俺ながで。」って感じじゃなくて

「先生はあいつらを褒めゆうけど本当にえらいがは俺ながで。涼太の父さんだけはわかっちょってよ…。」

って感じながです。

「うん、えらいぞ、直樹。おまえ、かわいいのう。俺はおまえが好きや!」

って気持ちで胸がいっぱいになりました。

いいなぁ、中学生。

いいなぁ、涼太。

素敵な友達いっぱいや。

俺はおまえらの同級生になりたいぜよ、心からそう思った一日でした。

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昨日の日曜日は昨年9月以来の『おかみさん市』、帯屋町での売り出しでした。
毎月第一日曜日に行く帯屋町はいままで基本的に父の仕事でしたが今月から乗っ取らせていただきました。

乗っ取り記念にまな板を持って行きました。昨年春から頭にあった企画で秋にはまな板も買って準備してましたがようやく実現、実行。

『試し切りコーナー設置大作戦』です。

朝行って商品並べて砥石を構えてから砥ぎかけの包丁を砥いで仕上げました。

それからまな板の上にトマトを出して柄もついてない砥ぎたての包丁で切ってみました。

「よし!」

(切る対象としては、トマトは水分が多い、ナスは色が悪くなる、キュウリでえいやん、とかいろんな議論がありましたが、切れ味実感にはやっぱりこれや!ってことでトマトにしました。一種類じゃなくていろいろ構えて行ってもえいかもね。人参、玉葱、ジャガイモ持ってって晩飯はカレー作ります、みたいなのもありや。)

そんなこんなで、さぁ、誰でも切って下さい!って置いちょったけど誰も切ってくれません。

一組の若いご夫婦が包丁を買ってくれそうだったので
「切れ味試してみてください。」ってお勧めしたら切ってくれました。
奥様が小さな声で「うはっ!」って言ってくれました。買ってもらえんでもそれだけで満足です。無事お買い上げいただきましたけど。

包丁買うつもりがない方の財布の口を開かせるほどの効果はないかもしれませんが、「欲しいと思うちょったけどこの兄ちゃんの包丁に決めてえいがやろうか?」とか「ちょっといつも買うのより値段はるけど本当に切れるが?」ってお客様への一押しにはなるんじゃないかと思います。

次回からはもっとたくさんのお客様にトマトを切ってもらうために「試しに切ってみて!」ってPOPを作っていかなければ、と思っています。

次回のイベント出店は月末26、27日の『かみの町・いの・ひなまつり』です。

その翌週はまたまた『おかみさん市』。3月6日の帯屋町は『とさのおきゃく』も開催されるようなので人も出るはず。よし、いっぱい持って行こう。

あ、野菜じゃなくて包丁をね。

.

「おまえ、自由気ままか!」
ほらね、やっぱり怒られた。ごめんなさい。

とあるソフトボールチームの飲み会における小学校からの幼なじみ3人の会話。
しゃべってるのは、ゆうせい(ゆ)しげる(し)さとる(さ)。

ゆ「うちのメンバーを『ONE PEACE』で言うたら誰が誰やと思う?」

し・さ「んー。」

ゆ「やすひろ(4番ショート)はゾロやろ。」

し・さ「うん、ゾロや!」

さ「じゃあひろや(5番)は?サンジ?」

し「全然ちがう。ひろやはエロくないも。あいつもゾロ。」

ゆ・さ「うんうん。」

ゆ「じゃあおまえ(しげるっち)は?ウソップ?」

し「いや、…ウソップは…偉大過ぎるろ…。」

そう言えるあなたが偉大だなぁ、と酔っ払った僕は思いました。
なんだかグッときたけど3人とも今年40歳になります。

その日の帰り、夜中の2時に車の中で 「俺にニコ・ロビンの強さがあったらにゃあ…ってマジで思う…。」ってつぶやくしげるっちがいました。

去年の夏、試合の前に
「『ONE PEACE』読みゆう?あれすごいぞ。子供に人気かしらんけどあの漫画の本当の良さは絶対子供じゃわからん。」
ってしげるっちに教えてもらったけれどほったらかしで過ごして来て、今年になって(りんくんのおかげで)読み始め、まだ37巻までしか読めてない僕にはそのニコ・ロビンの強さってやつがまだ見えてません。
でもウソップの偉大さはしっかりと感じております。そして37巻までで4回泣きました。

50歳になっても60歳になってもこんなこと言いゆうがやろうにゃあ…、幼なじみ。

あ、これは今日見せてもらった教え子かれんの卒業アルバムの寄せ書きページ。
卒業やってさ。

今年の恵方は南南東とか西南西とか聞くけんど

「今年の恵方は西!」

みたいなすっきりした年はないのか。
16分割ながやき4年に1度はそんな年があってもえいのに、って思いました。
そんな単純に順繰りで決まるもんじゃないがかもしれんけど、ちょっとうさんくささを感じます。
なんかありがたいもんね、『東北東』とかの方が。『南!』よりも。

今日は商工会青年部の会。
27歳の若きクリーニング屋さんの話を聞きました。
『岡田クリーニング』の後継ぎの池田くん。複雑です。お母さん方のおじいちゃんの仕事を継いだからそんなことになったそうです。

競合大手との差別化、お得意さんの高齢化、若い世代へのアピールなどなど、どこも同じような課題を抱えてるなぁ、という印象。

今まで乗り越えてきたこと、これからやろうとしてること、伝えられることは伝えられたらいい。

仕事始めて一年半、「技術はまだまだです。」っていう池田くんですが大丈夫な気がします。

なんだか職人のにおいがしたき。きっと大丈夫。

お客さん側としても、せっかくクリーニング屋さんで食っていこうと飛び込んできたこういう若い技術者を育てちゃらんといかん気がする。未熟でもあえて頼んで文句言って要求して一人前にする。そんなお客さんもおってもらいたいなぁ。なかなか難しい話ですけど。

そんな気持ちで母に聞いてみました。
「こんな若いクリーニング屋さんがおるがやけどどう?頼んでみようと思う?」

「上手ならね。」

やっぱそこかー。

がんばれ。

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またまたオファーがありました。家庭教師の。中学二年生だそうです。大人気です。塾開こうかにゃあ。

あえて言いますけど、僕は鍛冶屋です。

鍛冶屋ですので、こんな包丁の注文がありました。

刃渡り10㎝くらいの小さな包丁。背中のカーブが重要とのこと。

土佐和紙の町いの町の役場の職員さんから(夏にお祭りの実行委員長やった効果やね)

「和紙の原料である楮(こうぞ)の皮をへぐる(剥ぐ)包丁」

『いの町雇用創造協議会』というところがお年寄りにアルバイト的に木の皮を剥いでもらうそうで、見本を借りて10丁作りました。
取りに来こられた時にまた10丁の追加注文。

数日後に追加分が出来たことを連絡すると
「刃がまっすぐの方が使いやすいようです。」

この前お渡ししたやつを使った後のご意見。
「んー、出来上がっちゅうがですけど…。」

「遅かったか。じゃあ取りにいきます。」

その後その包丁を見てくれた別の方からまたご注文。また20丁です。

今度は『ふるさとの楮を守る会』さんから「見本持って行きます。」って作ったのがこれ。(左が見本)

初めにやったのと微妙に形がちがいます。今度は刃のラインのまっすぐさが重要らしい。
「このラインが丸過ぎると使えんき。」
って言われたので、初めの20丁の役場の職員さんに連絡しました。

「○○さんからも注文もらったんですけどやっぱり刃のラインはまっすぐ目がえいらしいです。この前の20丁直しますのでかまん時に持って来てください。」

そしたらすぐに持って来てくれました。
やっぱり使い辛かったがやね。

で、刃のラインをまっすぐ目におとして砥ぎ直したのがこれ。

わかりにくいかにゃあ…。完全な直線ではないけどだいぶ丸みはなくなりました。

せっかくうちに注文もらったのに「使いにくいのう…。」って思われるのはよくないことですき。

それからまたご紹介で別の二人の方から個人的に5丁づつご注文いただきました。あっという間に仕事が降ってきます。

兎にも角にも、これで『へぐり包丁』(形は2種類)がレパートリーになりました。

が、どこへ宣伝してどこへ営業かけたらえいかわかりません。ほんのひと月で50丁になる需要はあるみたいですけど。

口コミ以外ない話です。

でもここで一応宣伝しましたので、楮(こうぞ)の皮をへぐる方、おられましたらご注文ください。

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「あー、暇…。」って思いゆう時に「何しゆう?予定ある?よし、おごっちゃおき飯食いに行くぞ!」って電話くれてレバ刺しを食わしてくれる。
これもまた親友のなせる技だなぁ、と感謝する。
俺は誰かにこんなことしちゃれゆうろうか、って我が身を振り返る。

バニーアイズの新年会がありました。
試合の時より集まりがよくて8人出席。

僕以外全員がA型であることがわかり、やるじゃん俺、って思いました。
8人中6人が同い年で、監督しげるっちが
「俺ら前厄やろ?誰か厄抜けとかした?」って質問に誰も何もしてないことが判明。する気もない。いいチームだなぁ。男前。

去年入ってくれた年上の新しいメンバーに言われました。

「エラーした時に『へたくそ!帰れヘボ!』ってしげるくんに言われるさとるくんがうらやましい。そんな風に言われたい。」

言ってる意味はよくわかるけれど実際言えるかにゃあって想像するとなかなか難しそうです。
でも、そういう関係を作っていけたらいい、とは思います。

世紀末の兎年に誕生したバニーアイズも一回り。だから『Bunny Eyes』です。
血の入れ替わりや存亡の危機や雨天中止や準優勝などいろいろ乗り越えてなんとか続いてきました。幸せ、幸せ。

今年もがんばっていこうと思います。

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あ、忘れちょった。

去年の終わりにかずえちゃん(涼太の友達けんたのお母さん)に包丁のご注文をいただきました。

「いとこにプレゼントしたいきひとつ作っちょってー。」

ありがとうございます。
かずえちゃんはこのブログを読んでくれてるので

「忙しそうやき時間あるときでかまんで。あわてんき。」

その時は
「出来かけがあるき砥いで仕上げたらすぐ出来る!」って思うちょったのに

反比例とかsin30°の勉強したり、ONEPEACE読んだりしゆう間にすっかり後回し。

1ヶ月経っちゅう…。
ごめんなさい。
プレゼントのタイミング逃したがやないろうか…。

ハッと思い出して一昨日仕上げてもう後は柄をつけて箱に入れるだけになっておりますので今週末にはお届け出来ると思います。もうちょっとお待ちください。

「優しい言葉には甘える」という性質がありますのでお気をつけください…。

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うれしいことがありました。

去年の5月に高知駅前の『とさてらす』にイベント出店した時にあるお客様に出会いました。
大豊町からの母娘連れのお客様でうちの包丁を見てもらっていろんなお話をしてその日はリーフレット渡しただけだったけれどなんとなく気に入ってもらえた気がしてました。手応えありな感じ。

そのお客様から二日程前に
「そちらは高知駅に出店してた刃物屋さん?」ってお電話いただき、本日ご来店。
その時見てくれてた菜切り包丁をお買い上げいただきました。8ヶ月後のお買い上げ。

「あの時チラシもらったけど失くしてしまって、確かいの町の刃物屋さんやったって記憶をたよりに電話帳で調べたり、娘にインターネットで調べてもらって探し当てた。」って。

うれしい。

遠いところ本当にありがとうございました。

イベント出店の大切さ、実際のその日の売り上げ以外の部分の大切さが実感できました。PRってこういうことや。接客した人を全部獲得できるわけではないけれどこうやって遠いのに探してまで来ていただけることもあるわけです。うん、本当にうれしい。

出会ったその日は必要なくても「あ、鋏欲しい。包丁欲しい。」って思った時に思い出してもらえるようにいろんな場所へがんがん出て行かんといかんし、思い出してもらえる職人でおらんといかん。そして何より、感じのいい兄ちゃんでおらんといかん。

そんなことをあらためて思いました。

こんな風に包丁ひとつ買うために大豊から探して来てくれる人もおる。

この前は10月の刃物まつりでたまたまうちの包丁買ってくれたお客様が「よう切れる!けんど落としてちょっと欠けたがやけど直るかえー?」って奈半利からわざわざお店まで来てくれたり。

東京から高知へ帰省する度に「砥いでー。」ってしっかり使ってくれてる包丁を持って来てくれる人もおる。

グローバリゼーションやね。

やっぱり精一杯の仕事しちょかんといかんろ。

ねぇ!

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本屋さんでがっつり立ち読みした後に吸うタバコはうまい。

ここ数日はなにやら書くネタが浮かばないのでこんな些細な幸せをご報告してみました。

それから気になったのは「ホソガイハジメ」。

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「そこまで言うか…。おまえも偉うなったにゃあ…。」

こんなこと言わせてしまって一瞬ひるんでしまいましたが、それで良い方向に向かうのならばそれでえいじゃん。

あー、タタカッタ。

そんなセリフを引き出すくらいがんばって闘った証ということで。

結果を出さんと責任がのしかかるとこまでやっとたどり着けた感じです。

さぁ、いろいろ考えながらいっぱい仕事せんといかんぜよ。がんばる。

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