鍛冶屋日記

年: 2022年

昨日阪神競馬場に行ってきました。
春のグランプリ『宝塚記念』

毎週馬券はスマホで買っているのだけれどJRAの競馬場には生まれて初めての参戦。
電車を降りて人混みに流されるまま辿り着き、どこに何があるかもわからず右往左往して、天気良くてめちゃくちゃ暑い中お茶を買うための自動販売機に大行列。人人人の多さに圧倒されました。

全然レースも見れてない。大画面のオーロラビジョンさえ人の頭だらけで見えませんでした。スタンドでGⅠの雰囲気を味わっただけ。ファンファーレとお客さんの歓声とどよめきを聞いてきただけ。

充分わくわくしたし満足したけれど。もう現地観戦はいいや(そもそも観戦出来てないし)!家でビール飲みながらTVで見た方が絶対いい!と思いながら3時間ドライブして帰ってきたけれど、すでに「指定席取れたらまた行ってもいいかも。今度は競馬場でビール飲めるように日曜泊まり月曜休みのスケジュールで行こう。」などと考えたりもしています。

 

 

競馬場も賑わいを取り戻したように、こちらの日常も前の姿を取り戻しつつあります。
町の活性化や商業振興やイベントに向けての会がドカドカ入ってきてます。

活性化なんて10年ずっとやってきてほとんど結果出てないがやき下手くそながやろうけど、10年ずっと続けてやれてるってことは好きなんだと思います。

 

やっぱりみんなで元気になって行きたい。

町でも伝統工芸の世界でも。

もちろん誰かのためだけに動くなんてことは出来なくて、誰かのために動いてるように見えて自分のため自分の仕事のためにやってる部分が大きいことは宣言出来ます。直接間接問わずたくさん自分のためになってきてます。

いろいろ大変なこともあるけれど、ステイフーリッシュの馬券は当たらないけれど、続けていればいつか何かが起きるかも。そのために。

「stay hungry, stay foolish」です。

 

10番人気の単勝と複勝を5000円ずつ買って50万円になる夢を見ました。

 

 

 

麻雀の予定を立てて4人が無事2週間過ごすことがこんなに難しい時代が来るとは思ってなかったはさみ屋です。あと3日、何も起こりませんように。

 

 

一時に比べるとだいぶ注文も落ち着いてきていいペースで働けております。
注文が減ってきていていいペースとか言ってる場合じゃないのかもしれませんが。

そんな中ちょっと気づいたことがあるので書きます。
年々増え続けてきたホームページからのご注文。
印象としてはほぼ9割がプロの植木屋さんからのご注文だと感じてました。植木鋏や刈込鋏、オーダーメイドのご注文もほぼこの2種類。

それがここ最近、花鋏のご注文が増えてきてます。理由は謎。

データをほじくってみました。
昨年1年間のネット通販のご注文の割合。
(定番商品のみでオーダーメイドは含みません。)
植木鋏 114丁  58%
刈込鋏 35丁  18%
花鋏  29丁  15%
包丁  17丁  9%

植木鋏と刈込鋏で76%。
ほぼ9割は言い過ぎちょったことがわかります。

(包丁も9パーセントあるがや。これはなんかうれしい。)

これが今年になっての割合は
植木鋏 9丁  23%
刈込鋏 12丁  31%
花鋏  11丁  28%
包丁  7丁  18%

ここまで書いて気付きました。
「植木屋さんからのご注文の割合が減って花鋏の割合が増えた」という内容を書こうと思って書き始めたのだけれど、割合じゃなくて単純に植木屋さんからの注文の数が減ったがや。

去年の114丁がもう半年になりゆうのに9丁やん。
植木鋏が減ったことで花鋏が増えたという錯覚。花鋏だって半分に足りてないやん!こわ!

そりゃゆったりペースで働けるよね。

 

なぜそうなっているのか、
どこか違う鋏屋さんがたくさん売り始めたのか、笹岡の鋏は全国の植木屋さんにもう行き渡ってしまったのか。それともコロナの影響が今頃現れてきたのか。

そこは見えてこないし、考えても仕方ないので、ショーケースがスカスカになってるアンテナショップのために頑張って包丁を作っています。

ネット通販があって全国がお客さまになる可能性があるこの時代なら「鋏」だけ作る鍛冶屋でもやっていけたかも、なんて思ったこともあったけどやっぱりいろいろ作ることって大事でした。

今日も三重県に鍬(くわ)と包丁をお送りしました。

明日は包丁とナイフを仕上げます。

作る品の多角化。
売り先の多角化。

生き延びんとね。
あっちもこっちもあってよかったー。

 

Instagramで「#くるくるパーマ」を検索してそこに出てきた動画を美容師さんに見せて「これにしてください!」ってオーダーしたらきちんとくるくるパーマになりました。
朝イチでパーマをかけて昼に帰ってビール片手に正座でテレビ観戦したらソダシが勝つ(単勝が当たる)というルーティンを編み出したはさみ屋です。パーマ代はペイ出来た。

 

 

前回書いた研ぎ直しお問い合わせそのままスルー問題。
ブログで発信してから考えました。
やれることあるじゃん。

うん、お手紙出そう。

「研ぎ出来ますか?」のお問合せのメールを受けてメールでお返事したけれど、その後反応がないお客さまにお手紙を出しました。

以下、ほぼ全文
「以前、鋏の研ぎ直し、調整のお問合せのメールをいただきました。
お返事のメールをお送りしましたが、その後ご連絡がないままですので、もしかしたらこちらからのメールが届いてないのかもしれないと思いご連絡させていただきました。

研ぎ直し承ります。
お値段は
鋏研ぎ直し「1,500円」
代引手数料「300円」
返送料「1,000円」
消費税「280円」
合計「3,080円」の代引での発送になります。

こちらに届いて1〜2週間程でお送り出来ると思います。

お値段、納期、よろしければこちらにお送りください。

(研ぎ直す必要がなくなったとか、お値段や納期が合わなかったからその後のご連絡がなかったなどの場合は、余計なご連絡で申し訳ありません。)

研ぎ直しメンテナンスしながらであればまた長い間お使いいただけると思います。
もし、必要であればお気軽にご依頼ください。
今後ともよろしくお願い致します。」

封筒に入れてポストに入れました。

反応ないけど大丈夫かなぁ、メール届いちゅうがかなぁ、って考えてずっと引っかかっちょったのにあっさり解決。お手紙出して何もないならもうやれることはない。
ずっと引っかかっちょったのにあらためてメールBOXのフォルダを検証するとお手紙を出すべきお客さまは3件だけ。84円×3通で解決しました。(僕の心が解決しただけね。)

ただ一番古いお問合せは昨年2月。もし、何らかの事情でお返事メールが届いてなければ1年3ヶ月もほったらかしってことになります。

これではずいぶんタイミングは悪いので、次から同じことが起きたらもう少し早めに対応出来る。お手紙作戦を開発しました。

 

心に留めちゅう間は一年ほっちょけるのにブログに書いたらすぐに解決策を考える頭になりました。
やっぱり発信するって重要。

ひとつひとつです。

 

 

町の活性化や商店街でのイベントへ向けての会議や同窓会の幹事会が消え失せてしまったここ2年、ただ毎週末の馬券の買い方だけを考えて生きるダメな男に成り下がっているはさみ屋です。
あんなに忙しくいろんなことが出来ていたのに。今週末はソダシです。単勝勝負です。

 

 

時々、県外のお客さまから修理のご依頼のメールをいただきます。
欠けました、先が飛んでしまいました、切れ味が落ちたのだけれど、などなどいろんな内容。

もちろん「お直しします。お送りください。」
ってお返事をします。
納期と修理の代金の目安を書いて。

ほとんど送ってきてもらえるのだけれど、まれにその後の反応のないお客さまがいます。

ものすごい不安。
「メール届いちゅうがやろか。」

修理のお値段が合わない、2週間もかかるならいいや、って判断なら仕方ないけど。

もしかしたらお返事メールが届いてなくて、こっちが無視してることになったりしていたら申し訳ないので、ここに書いておきます。

出来る限りお直ししますので、ご遠慮なくご依頼ください。お送りください。

あ、うちで作ったものじゃなくてもお直しします。
研ぎ直しや柄の修理もうちの大事な仕事です。代金をもらって切れるように使えるようにしてお返しする。うん、仕事。

本当にご遠慮なくご依頼ください。

「品質」=「お客さまの満足度」ならメールのやり取りやお電話での対応や梱包の仕方なんかも品質に含まれるよね。

 

全部しっかり出来る職人になりたいです。

 

 

 

毎日タバコを吸う、毎日ビールを飲む、毎週馬券を買う、毎日仕事をする。全部依存でね。

ビールのない夜は考えられんし、2億あっても仕事すると思います。
2億あったら馬券買うのがつまらなくなりそうやきない方がいいか。

 

 

今日お問い合わせのお電話がありました。

「出刃包丁が欲しくていろいろ調べてて、お電話したんですけど。」

高知市内の方から。

寸法のこと、鋼のこと、お値段のこと、いろいろご質問いただいて いろいろご説明して、

 

「あ、その寸法なら今(奇跡的に!)在庫があります。来ていただければ見てもらえます。」

「では、近々お伺いするかもしれません。」

「よろしくお願いします。」

 

 

出刃包丁が欲しいと思って探してる方がいて、その方の視野に入れてることがなんかうれしかったです。あらためましてはさみ屋です。

 

もともとは鋏を作る鋏鍛冶で『はさみ屋』の看板をかけて鋏を中心にいろんな刃物を作っているのだけれど、包丁も他の刃物も一生懸命作ってます。もちろん鋏も。

「はさみ屋の包丁って。」
「はさみ屋が作った鍬(くわ)でしょ。」

そんなご意見をいただくこともありますが、とりあえず今日のお電話の方には見つけてもらうとこまでは行けたので、願わくば使ってもらえるとこまで行けたらいいなと思います。

 

そうならなくても、電話もらえただけでうれしかったからいいか。

 

明日は万能包丁を仕上げます。

 

 

 

 

2ヶ月振りのブログ更新。
お元気ですか。僕は元気です。

この度、先週、ようやく、本当にようやく、昨年中にもらったご注文の仕事が全部終わり、それぞれお客さまの元にお届け出来ました。ご注文から約3ヶ月半。

そんなにお待たせしてるのに「フェブラリーステークスでソダシが…」とか書いてる場合じゃないよねと思ってブログ書くより働かなくちゃってことでした。
まだ1月末のご注文分が完成してないけれど、そろそろ出来上がる目処もたったので、久しぶりに文章を書くはさみ屋です。

 

 

先週土曜日、高校の同級生が大阪からご来店。
奥さまと一緒に。天むすの差し入れとともにしっかり使いこんだ包丁を携えて。

 

「研いで」「うん、ちょっと待ちよって」

 

研ぎ直し終えてから、うちの親父さんも交えてちょっと話して帰って行きました。親父さんも久しぶりに会えて喜んでました。

これも地元で働く良いところやなぁと思いました。

大阪から高知に帰ってくるのに何の連絡もなしに会いに来てくれる。
中学生の頃泊まりに来たのと同じ場所で、浪人中に麻雀していたのと同じ所で、大人になってもずっと仕事しゆうき「あそこ行ったらおるろ」ってことよね。
コロナさんの件もあってほぼ3年振りに会うがやき「今日行くけどおる?」ってLINEくらいして来てもよさそうやけども。

地元で自営業しよってよかった。
家業をやらせてもらえてよかった。

外に出て行ってがんばってる友達が会いに来てくれるのを待ちよれるってのも素敵なことやと思いました。

同級生のみなさま、いつでもどうぞ。
(月〜土は基本的に工場にいますが、ごく稀にイベント出店とか外回りの日とかもあるのでお気をつけください。)

 

 

 

百合は猫にとって猛毒なので、猫のいるお家には百合を置いてはいけないらしい。葉っぱをかじっても花瓶の水を舐めてもユリ中毒にになるそうです。
そこに野生の勘はないがやね。

 

お客さまからのいただきもの。

その一
鎌と包丁を研ぎ直しに持って来てくれたお花屋さん(鎌が18丁もあったのでお花農家さんなのかも)が研ぎ代10,400円をお支払いいただいた上にユリをプレゼントしてくれました。
「ただ束ねただけですけど良かったら花瓶に挿してください。」


何日くらいで咲くがやろ。楽しみ。

その二
お母さまが40年ほど前に買って使っていたという柄の朽ちた包丁を持ち込まれ、研ぎ直しと柄の付け替えをして1,200円をお支払いいただいたお客さま。
今日取りに来られて「ありがとうございます。それからこの前お支払いしたお代が想像以上にお安くて申し訳なかったので、これどうぞ。」ってビールとノンアルコールのレモンサワーをプレゼントしてくれました。


お酒飲める、お酒飲めない、両方に対応した細やかなお気遣い。
申し訳ないのはこちらです。

お仕事を依頼されて働いてこちらが決めたお値段をしっかりもらった上に、時々こんな素敵なことが起こります。
(この前広島からお土産持参で包丁の研ぎを持って来られた方もいたなぁ。)

 

 

これほど恵まれてる仕事はなかなかないと思うので、みんな鍛冶屋になればいいと思いました。

 

 

 

あけました。

作って研いでしていたらいつの間にか50歳になり、2022年が始まってます。麻雀も出来ないまま年を越してしまいました。

 

お伝えせんといかん昨年の出来事があるのでご報告。

高知新聞にはさみ込まれるフリーペーパー『K+(ケープラス)』さんに載っけていただきました。

こちらから読めます。

https://www.kochinews.co.jp/article/detail/523043

もうひとつ、いずみの病院さんが発行されてる広報誌にも載っけていただきました。

こちら↓

http://www.izumino.or.jp/info/prm_izumino/202112prm.pdf

 

ほとんど同じ時期に取材をうけたし、話したのは僕なのでだいたい同じ内容になってます。

取材を受けるごとに、過去にやってきたことが確立されたり美化されたりアップデートされるように感じてます。

 

どちらも宣伝効果抜群で真っ直ぐ売上に繋がってくれました。

お店のショーケース空っぽです。包丁も鋏も並んでません。本当に。史上最大に空っぽです。

 

そんな風に忙しいのだけれど、伊野中学校から「キャリア学習講演会」の講演依頼を受けて中学生の前でしゃべってきました。11月の終わり、東京に出発する日の午後でした。

 

過去の記事『寄稿依頼』にも書きましたが、

中高生に伝えたいことなんて本当にRADWIMPSが歌ってるように

「大切な友達との仲直りの仕方とか大好きなあの子の振り向かせ方とかばっかり考えよっていいよ。」だと思ってるので仕事に就いたきっかけや日々のやりがいの話のあとにそのことを伝えました。

「友達を大切にする」「好きなあの子にどうやって好きになってもらうか」をしっかりがんばることって全ての仕事に必要な、一番大事な素養だと信じております。

 

しばらくしてから、話を聞いてくれた中学生の男の子からの感想が届いて

「友達を大切に」って聞いてかっこいいと思いました。

 

ちょっと文脈おかしい気もするけれど、「かっこいい」ってこの世で一番の褒め言葉だと思ってるのでめちゃくちゃうれしかったです。

 

もっとかっこよくなれるように仕事も仕事じゃないこともがんばりますので、今年もよろしくお願いします!

 

 

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