鍛冶屋日記

月別: 2014年8月

先週土曜日は『職人イドバタミーティング』4回目。

テーマ「人口減少の街で仕事するためにどう行動する?」

今回座長としてテーマを決めてくれた若き散髪屋さんが自分の事例を挙げて口火を切ってくれたので議論はスムーズに盛り上がる。

2時間越えの楽しく熱いミーティング。

お客さんが来ないと仕事出来ない待ちの商売の難しさ。散髪屋さん。

自分の仕事が研ぎ直しだけならどうするか。持って来てもらわないと出来ない仕事だけだったら。置き換え。

絶対取りに行く。中山間に出向いて研ぎ直しイベントをするか、集配する受付システムを作る。頼みに来たくても来られない人っているはずです。集配ノウハウはクリーニング屋さんに習えば出来上がるよね。

集荷しに行く訳にいかない散髪屋さんの作戦としてはお店の休みを使って介護施設や病院に訪問散髪しに行ってるそうです。
きちんとした対価がもらえるのならやるべきや。
おじいちゃんおばあちゃんは喜んでくれて待ってるだけじゃ手に入らない仕事を生み出す。あり。
そして、こういう需要は絶対増える。

もう一人、僕より年上の散髪屋さんの困りごと。お客さんが土日に集中してせっかく電話もらっても身体一つじゃ捌き切れないジレンマ。
けれど、平日はゼロの日もあるらしい。
「ゼロが3日続いたら心が折れそうになる。自分のどこがいかんかったがやろう?って。」
その一方で週末は大忙し。かと言って、お手伝いしてくれる人を一人雇うのは簡単じゃない。

お客さんが増えればどんな仕事でもあり得る問題。植木屋さんもこの悩みはずっと抱えちゅうよね。
これはもう「一週間先になってもこの人に髪を切ってもらいたい。」って思ってもらえる関係作りしかないと思います。

彼らなら出来そうやし、自分では気付いてないかもしれんけど大部分のお客さんに対しては出来ちゅうはず。それをコツコツ増やしていけばいい。その関係を強く強くしていけばいい。

そんな楽しい議論で時間が足りません。

僕の意見は
「人口減りゆうかもしれんけど、地元の町の全ての人をお客さんには出来てない。知ってもらえてない。まだまだお客さんになってもらえる可能性のある人はそこにもここにもいっぱいおる。そこに届けることが出来たらきっと隣の町にも届くんじゃないかなぁ。隣の隣の町から来てもらえるお客さんも生まれたりするかもよ。」

あとはどうやって届けるか。
ニュースレターかポスティングかfacebookか。
その一つの方法として「職人ストリート」を使ってくれたらいい。
技より人を伝えるために。

このミーティングに出て来てくれる若い職人さんの何かが動いてくれたらいいなぁと思います。

帰りに真っ暗な駐車場で若い散髪屋さんが先輩散髪屋さんに質問して話し込んでる光景を見れただけで、この場所を作った甲斐あり!やね。

このミーティング終わりの個別ミーティングが異業種である植木屋さんやはさみ屋に向かって来たら、また一つ違うものが生まれて来るね。

楽しみや。
負けられん。

先週の木曜日。
50代くらいの男性のお客様あり。

「ナイフあったよね?」
「はい、こちらです。」
「んー、これちょーだい。」

18000円也。
高額商品あっさりご購入。

お話を聞くと
・3月のひなまつりで見ちょった
・その時僕と話した
・いのの町なかの方
・キャンプに持って行くのにちょうど良さそうだった

来ました!
職人ストリート効果!
成果か。

5ヶ月経って結果が出ました。

あの日いくら売れたかなぁ、あの日も途中から雨やったなぁ、って調べるとひなまつりの当日売上は包丁2丁だけ。9000円也。
3月1日の売上が5ヶ月経って3倍にジャンプアップした気分です。

「刃物買いたいぜよ!」って人が商店街のひなまつりのイベントにどれだけ来るか。来んよね。そう簡単には売れません。

でも、その時出会った人が欲しくなった時、必要になった時に思い出してもらうために売れようが売れまいがお店を出す。

刷り込み刷り込み。

「いの町にも鍛冶屋がいます。こんな感じでいろいろ作ってます。研ぎ直しもお申し付けください。」

今回は5ヶ月やったけど、もしかしたら1年・3年・10年後のお客さんの種もどこかで育ちゆうかもね。けっこう撒き散らして来た自負はある。

10年経って「あの時のイベントでチラシもらったので来ました。」ってお客さんが来てくれたなら包丁ひとつの研ぎ直しでも大成功です。
職人ストリートをやる意義。続けたい。

あ、この秋冬にもいの町でやる予定なので、ご興味ある方連絡ください。
職人ストリートって銘打ってますが、どんな職種でも構いません。出店条件は「心意気」だけ。

おかげでどんどん忙しくなって、特注のご注文をお待たせしていたり、定番の品も品切れのモノがあったりで、作るのが間に合ってなくてご迷惑おかけしたりしてますが、未来のために、行ける場所には行かんとね。

いつまで未来のために動かんといかんがやろ?って思うこともありますが、こうやって成果が出ると「よし!」って思います。

まだ、広げれる。頑張れる。

「涼太がどうしても観たいってチケット取ったら本人は部活の遠征が入って行けんなってチケット余っちゅうがやけど行かん?凜と行くけど。」

という訳で、土曜日朝5時半出発。Jリーグの試合の前に姫路で涼太の試合を観戦。
コーナーキックを直接決めるカッコいい息子の姿を見てから移動。
途中甲子園に寄ってから「ガンバ vs.マリノス」の試合観戦のため万博公園へ。

15000人入ったスタジアムで妹家族(大阪在住)とバッタリ出会う。何にも言ってなかったのに。すごい偶然。出会うものは出会うがやね。

遠藤・宇佐美だけじゃなく俊輔・中澤までが目の前でサッカーしていてテンション上がる。

さらにヤットさんのゴールまで見せてもらって思わず立ち上がりました。

涼太に見せちゃりたかったなぁ。なんで俺がここにおるがやろ。

涼太のゴールと遠藤さんのゴールを朝に晩に見ることが出来た素晴らしい一日。

観戦後、妹家族にガンバのスポンサー『でん』で焼肉をご馳走してもらってから帰路。

「大雨で高知道通行止めになっちゅうで。泊まって明日帰れば?」

それでも帰路。
解除になったらすぐ帰れるように行けるとこまで行ってみる。一晩PAでやり過ごせば解除になると思うよね、普通。

車で朝を迎えたら高知が大変なことになってました。Facebookに上がってくる溢れそうな鏡川や仁淀川、冠水した道路。

このまま待ってもダメそうなので一旦高速を降りて観音寺で朝マック。お風呂に入ろうぜってことで着替えを買って温泉へ。
なんせ日帰り予定なので何にも持ってない訳です。携帯の充電器すら1つを3台で使い回す事態。

そして全く解除になる気配のない通行止め。どんどんひどくなってるのが伝わってくる高知の状況。

温泉でさっぱりした後、お昼ごはんにうどんを食べてからもう一晩宿泊を決断。この日はビジネスホテル。

本来必要のない着替えや予定外の宿泊費や余分なガソリン代で財布の中身はどんどん減っていきましたが、GUやジョイフルや香川のうどん屋さんの安さに助けられて乗り切る。
焼肉をご馳走してくれたひろくん(妹の旦那さん)にも感謝。あの時半分払ってたらパンクしちょったね。

翌朝、寒風山コースで無事帰宅。

日帰り予定からの延長二泊三日。
大阪で二泊すれば良かったね。後の祭り。
遠征涼太くんもSAでバス中泊して同じ日に同じコースで帰って来ました。

どこへ行く訳でもなくいつ帰れるかわからないモヤモヤ状態が続く中、後部座席で寝るか携帯いじるしかなかった凜くんに2日目午後に声を掛けました。

「退屈やろ。」
「しゃーないろ。こういうこともある。」

この辺りの動じないとこ素敵です。デカい。

土曜夜の車中泊から月曜朝の帰宅まで凜くんから出た文句は無し。要望がひとつだけ。
温泉上がってのんびりしながら動くに動けずこれからどうするか悩んでいる時に一言。

「父さん、俺、腹減ったがやけど。」

うんうん、他のことばっかり考えて、お昼ごはん忘れちょったね。
すぐにうどん屋さんへ行きました。

帰ってみると家や工場にも被害はなく、高知がどれだけすごい豪雨だったのかも体験することもないまま終わったので良かったのかもしれません。

長かったけどね。

被害に遭われた方々の一日も早い復旧を願いつつ、日常です。

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