鍛冶屋日記

月別: 2010年11月

髪切りに行ってきました。

長年お世話になってた美容師さんの移籍を追いかけて新しいお店へ。

この美容師さんに切ってもらうために南国市まで通った数年間(とは言っても年に2~3回のことやけど)を思うとぐぐっと近くなりました。高知駅のちょい東です。

「りぐる りぐれば りぐれった」

オープンしましたのお知らせDMに20%Offのクーポンが二枚ついてたのでそろそろ切ったら?って状態の涼太くんと一緒に。

最初のオーダーは「伸ばそうと思ってます。」
でもシャンプーしてもらってる間に気が変わり席についた時には
「バッサリスッキリやってください。移籍祝いに。」

最近、少し心がオフェンシブなのでさわやかさを求めてみました。

「ちょっといい感じになり過ぎましたねぇ…。」
って頭の後ろで鏡越しにつぶやくリグレッタテクニカルマネージャー。

希望通りです。

男前が上がった涼太くんも美容師さんから名刺とメンバーズカードをもらってたのでそのうち一人で来たり友達と来たりするようになればいい、と思いました。近くなったしね。ここならチャリでの行動範囲内です。

ひろびろキレイな新しいお店でヘッドスパニストさんを紹介されたり、移籍にまつわる裏話や、オープン前から今に至るまでさらにこの先の大変さを聞いたり。

それから重大な事実を告知されました。

「笹岡さんはつむじが人より後ろにあるがですよー。」

自分の体の欠陥を38歳で初めて知る。

つむじを気にして生活しみようと思います。

うちのじゃなくてもアフターサービス。

この前お店に来てくれたお客様の話。

50代くらいの女性のお客様に包丁の砥ぎ直しを8丁お預かりして取りに来られた時に少しお話しました。
うちに頼んでくれるのは2回目でした。

「包丁大好きやき今まで砥ぎもずっと自分でしよったけどこの前砥いでもろうたらこじゃんとよう切れたきもう自分で砥ぐのやめた。」

良かったのかどうかはわかりませんが、うれしい。

「前によそに砥ぎに出したら機械でちゃーっとやって、はい、終わり。がっかりした。」

包丁大切にしてて自分できちんと砥いでる人には物足りないことでしょう。

「だからあなたに頼む時に『どうやって仕上げる?』って確認したろ?」

はい、うちは包丁は手砥ぎで仕上げます。

「本当に包丁が好きでこの前も包丁買ったけどあなたに砥いでもらった方がしばらく使った後なのに新品よりずっと切れる。」

次に買う時は是非当店でお願いします。

こういう仕事の仕方してて良かったなぁ、と思う瞬間です。
ちょっと浅いのがバレますけど、このお客様が帰られた後に心でガッツポーズです。

こんなふうに「自分で砥ぐのやめたきお願いね。」ってお客様もいれば、「せっかく手打ちの包丁買ったき。」って砥石も買ってくれてご自分での砥ぎ直しに挑戦される方もおられます。

どちらも道具を大切に思ってくれてる人。

そういうお客様とどれだけ出会えるか。

出会えた時にどれだけ応えられるか。

それからそう思ってもらえる方をどうやって増やしていくか。

そのために『砥ぎ直し』はとってもとっても大切だと思っています。売れたら終わりじゃいかんと思います。

砥ぎ直しはしない、よそ製の刃物は砥がない、なんてとこ多いし、砥ぎに持って行ったら「こりゃあいかんぜよ。新しいの買いや。」って捨てられた、なんて話も聞いたことがあります。

砥ぎながら使えばずっと使えるのが土佐の刃物のセールスポイントながやないがかえ。

高知では機械でしか砥がない鍛冶屋さんや砥ぎ屋さんが主流やし、うちも十数年前まではそうやって仕上げてました。

刃物まつりやZAKURIの砥ぎ直しイベントでさえ機械で砥いで終わりです。それで満足してくれるお客様も確かにいます。

けどねぇ…。

「きちんと砥ぎ代もらって手砥ぎで仕上げようや。」って提案しても受け入れてもらえませんでした。刃物まつりは客寄せのために無料砥ぎやし、ZAKURIも1丁200円。

「間尺に合わん。」やって。

もったいない…。

長く長く使えるいい刃物作れる腕持った鍛冶屋さんいっぱいおるのになぁ。

そのおかげで砥ぎ直しはじゃんじゃんうちに集まって来てますけど。

熱くなってしまいました。
長くなってしまいました。

お客さんにこんなこと言ってもらってうれしかったです、って書こうと思っただけやったのにね。

まぁ、これからもずっと砥ぎますきー。

どこの品でも錆びちょっても欠けちょっても柄が折れちょっても治してみますので、じゃんじゃん持って来てつかーさい。

.

昨日はごはんつぶを一粒たりとも食べてません。
唐揚げとコロッケしか食べてない。日付が変わってすぐの真夜中にナンバンチョイス(生姜焼き)と天ぷらうどんをがっついて気持ち悪いまま寝ましたけど…。

そんな昨日は土佐和紙工芸村くらうどで「まちかど市オープン2周年記念」のイベントでした。

紅葉の時期なのでドライブがてらのお客さんや県外からのお客さんに包丁を買っていただいたり、くらうどの社長さんに包丁砥ぎを頼まれたり、それなりに忙しかったです。

親戚のおじちゃん、おばちゃんに偶然出会って「がんばりゆうね。」ってコーヒー差し入れてもらったり、高校の同級生が車から赤ちゃん連れて降りて来たり。

みんなけっこうお出かけするがやね。

そんな勤労感謝の日でした。

次は金曜日(26日)にサニーマートいの店にて店頭販売、じゃなくて店内販売です。
是非お越し下さい、とは言いません。
地元の日常のお買い物のお客様に包丁砥ぎ直しできますよってPRして来ます。

そんな感じで工場の仕事がたまりつつあります…。

.

明日23日の祝日は土佐和紙工芸村『くらうど』にてまちかど市オープン2周年記念のイベントです。
『まちかど市テント村』
包丁砥ぎます。
10時~16時です。
是非お越し下さい。

来月12月の一週目と二週目の土日にZAKURI主催のイベントがあります。刃物砥ぎやら不要になった刃物の供養再生作業の実演やら。

このイベントの一週目の日曜日にソフトの試合がかぶってしまいました。先月雨で流れた分が組み込まれました。

悩んだ末にZAKURIに「試合があるので出れません。」って連絡しました。

「こっちが先入っちょったのに?ソフトの方が大事なが?」って言われました。当然の反応だと思います。

「でも僕が行かんと不戦敗になるがですよー。9人揃えばそっち行きます。あと雨なら行けます。ごめんなさい。」って押し切りました。

ZAKURIもギリギリの人数でやってます。ZAKURIにとっては一年間で一番大きなイベントです。けんど一人減って困るのはこっち(バニーアイズ)やなぁ、と思うわけです。ZAKURIの副委員長より、その日その時間にそのグランドにおる一人の人間という立ち位置が大きいわけで。

電話切って「うん、しょうがない。」って自分に言い聞かせながら冷静に考えてみました。
それで気がついたことがあります。

「今度の試合休みます。」って返事くれるメンバー達はこんな気持ちながや。

1ヶ月前から16人のメンバーに予定連絡して、いざ出欠とったら、なんで7人しか来れんがよー、あとどっから探せっちゅうがよー、って思いよったけど、しゃーないがやね。空けれる時は空けてくれゆうわけで。行きたくても行けん理由があるわけで。

あーあ、今度の日曜日の出欠確認のメールにちょっとイヤミなこと書いてしもうた。

昨日の試合に来れんかったたメンバー限定で
「昨日は8人で戦ってあっさり負けました。来週の出欠教えて下さい。」

「来てよ」ってプレッシャーかける気持ちがあったことを認めます。

反省してます。

ごめんなさい。

バニーアイズ、大切。

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「カスタードは最強でね。」って涼太くんに同意を求めたら「ん?あ、うん。」って言ってくれました。

カスタード最強論者。


これはチョコスペシャル。
made by 菓子工房うらやか。18号で3700円なり。

初めてのケーキ屋さんでしたがおいしかったです。
一緒に行ったりんくんに「どれがうまそう?」って聞いたら「これ!」って指差した210円のプリンが確かに光ってたので次のチャンスに買いに行こうと思います。

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ブログでFA宣言を知らされたかかりつけの美容師さんから移籍先のお知らせが届きました。明日オープンだそうです。

「りぐる りぐれば りぐれった」

日曜日は吾北のもみじまつりに出店してきました。
副町長にお買い上げいただいたり、町長に「売れゆうかね?」って声かけてもらったり。

ここへ売りに来るようになってもう6~7年ですが一年ぶりに山を登ってあらためて思うこと。

「山の人は刃物を知っちゅう。」

買う買わないは別にして視点が町のお客さんとちがいます。値段のことは言わない。装飾は気にしない。大事なのは使えるかどうか。いるものはいる、みたいな感じ。

表面を磨きましたとか、付加価値のために柄にカシューを塗りました、とかあんまり気にしてません。

自分の使い道にあった大きさか、自分の使用に耐える切れ味か、耐久性か、そんなところしか見てない人が多い。

だから売れなくてもお客さんとの会話の中で教わることがたくさんあります。今年はぼちぼち売れましたけど。

それからゲストもすごい。去年はケロロ軍曹。今年はこの方。

りんくんを見習って納豆を食べてみたら、意外にいけました。

今日は久しぶりにアンテナショップ『てんこす』に寄って来ました。

自前でショーケースを構えて3ヶ月。それまでお客様の目に触れることさえなかったナイフや鉈が売れた知らせをもらったり、初めて話す鍛冶屋さんから「あそこに並んでますよね。」って言われて喜んだり、「出して良かったー。」って思うことが増えてきた今日この頃。
そんな上機嫌な感じで商品減ってないかなーって見に行ったらすごい光景が目に入りました。

うちが莫大な資本を投下して作って持ち込んだガラスのショーケースの上にずらずらっと『龍馬包丁』が…。もちろんうちの商品ではありません。うちの商品じゃないものでケースの中の一段目のうちの品はほとんど隠されてます。

そこ、棚ちゃうき…。
ちゃんと上から覗いて見てもらえるように中の棚の高さも設定しちゅうき…。

こりゃあ言わないかんにゃあ、これ言わずに帰ったら「なんで言わへんの!?俺なら全部持って帰って取引やめるね。」って言う仲良し社長さんのセリフが耳に浮かんできたので『てんこす』の社長さんを呼んで言いました。

その驚愕の光景を指差しながら、冷静にひとことだけ

「これはないっしょ…。」

そしたらすぐに理解してくれたようで、なんの淀みもなくささっと龍馬包丁たちを片付けながら
「あー、すみません。商品が増えてあっち置いたりこっち置いたりしてるんで、すみません。」って。

本当に、全然冷静やったのに、ここで心の中のどっかが揺れました。

扱う商品が増えて置くとこ作るの大変なのもわかる。(だからうちはケースを持ち込んだがやけど…。)売上があがるように飾りながら種々雑多な商品たちを陳列するのはきっと大変でしょう。片付けてくれて謝ってくれて問題もあっさり解決しました。

でもなんかワナワナ感が芽生えました。

「よろしくお願いします。」ってあっさり帰って来ましたが。

後に考えると、あれほどあっさり片付けれるってことは、きっと、「ここに置くとまずいにゃあ…」ってわかっていながらそうしちょったってことで、なんかそれがイヤな気分の原因や、と思いました。

指摘した時に、「ん?何がいかんが?」って反応ならこんな気分にならんかった気がします。
(もちろん論理的に説明するだけやし、その準備も出来ちょったがやけど。)

わかっちょってしなやー、ってことやね。

ワナワナ感を収めようとさっき耳に浮かんだセリフの主の社長さんに電話しました。こんなことされちょったー、って報告したら、予想通り「商品引き上げ、取引停止」のキーワードが出て来て

「それでもあんな場所にはさみ屋の商品が並ぶチャンスないっすもん。僕はやめませんよー。」
って言ったら

「じゃあ、次なんかあったら卸し値5%上げるって一方的に通告しなさい。」って。

さすがや…。

ナイスアドバイス…。

けど、出来るかにゃあ…。

がんばってみます。
次あったらね…。

.

昨日は取引先の問屋さんの新社長就任祝賀パーティーに出席。久しぶりのネクタイ、スーツ。

そこである鍛冶屋さんに出会いました。
だいたい業界のお祝いやパーティーに出てくる顔は決まってるので、同じテーブルにいる見たことない若い顔に「誰?」って思って見てました。
その方の隣に座って仲良そうにしゃべってる鎌鍛冶さんに紹介してもらって少し話をしました。

30代前半の鍛冶屋になって6年程。福岡県出身。
福岡で出会った奥様の実家が美良布の包丁鍛冶さんで、結婚して鍛冶屋になったそうです。先細りの土佐の刃物業界にとっては貴重な存在。

向こうははさみ屋の存在を知ってくれていたようで
「てんこす(アンテナショップ)に出してますよね。」
って言ってくれました。
おー、見てくれちゅう!うれしい。

それから、てんこすに並べてるナイフの仕上げについて質問してくれました。

「同業者が聞いていいのかとも思いますが、あれはどうやって作ってるんですか?」

なんちゃあ隠すことらぁないので説明させていただきました。自分もいろんな刃物屋さんに聞いて教わったことやし。
うちの品を見て「これどうやってやっちゅうがやろ。」(あ、福岡の人やきこうは呟かんか…)って疑問に思ってくれて、それを質問してくれる人が現れたことがなぜだかすごくうれしい。同業者の職人さんにはさみ屋の品に興味を持ってもらえたってことがうれしいがや。

真似してくれたらいいのに。
ずっと真似する方やったきね。

「一回うちの工場に遊びにきいやー。見せちゃおき。」
って言ってきました。

本当に来てくれたらうれしいろうにゃあ…。

でもまぁ、来んかったらこっちから行ってなんか教わってくることにします。

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今日もなんとかそこそこ真面目に働けたので、ここ数ヶ月の、刃物まつりや入院や火傷やその他諸々によるあれもせんといかんこれもせんといかんっていう状況は脱した感じです。落ち着きました。

落ち着き過ぎて勝手に追い込まれる癖があるので気をつけたいと思います。

「二段階降格ちや…。」

今日、うちに来た友達が言いました。

これはこいつのせいではなくて、勤め先の形態の変化による仕方のない人事。

環境の激変は大変やろうけど、今までのお客さんからしっかり信頼を得ているこいつならすぐ役職なんかついてくるにちがいないと僕は思います。

組織というものに関係ないところで仕事している者としては、友達が働く場所は「出来る子がきちんと評価される場所であって欲しいなぁ。」と思います。なかなか難しいがやろうけども…。

こんなきれい事を書いてる僕の頭と心は、この強肩強打のキャッチャーが日曜日に仕事しなくてよい職場環境になることだけを願っています。

もう何ヶ月も一緒に遊んでないもんね。

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