鍛冶屋日記

月別: 2014年5月

涼太くん17歳の誕生日。
サッカーのために体重落としてぐっと精悍な感じになってます。
おめでとう。

またまた県外からのお客様のお話。

3年前の秋にホームページから紙を切る鋏のご注文がありました。
紙を切る鋏は専門外だけれど、図面と見本を送ってもらえたので親父さんに相談すると「なんとか出来るろ。」ってことで、見本に合わせて作ってお送りしました。

そのお客様が4月の初めにご来店。静岡から。

その時の鋏を気に入っていただいて高知への旅の途中にはさみ屋に寄ってくれました。
切り絵がご趣味とお聞きして、
「いの町は紙の町です。紙の博物館も是非!」って言ったら
「はい、これから行く予定です。」って。

そして「前回のより少し刃先を細くした鋏を2丁また作ってください。」って、ご注文いただきました。奥様には包丁も買っていただく。

それから一ヶ月以上お待たせしてようやく出来上がったのでお送りしたのが5月の半ば過ぎ。

そしたら早速「新しい鋏で第一号を切ってみました。」ってこの切り絵を送ってくれました。

『毘沙門天』

うれしいなぁ。
(趣味ってお聞きしてたけれどご自身の展覧会のパンフレットも同封されていてすごく本格的です。)

「毘沙門天は古くから鍛冶神としても信仰されています。」ってご説明も添えて。

作り手冥利です。
飾ります。

前回書いた植木屋さんもそうですけど、ホームページで出会って鋏を使っていただいて、さらに愛知や静岡からわざわざ会いに来ていただける幸せ。

4月にはもう一件「本で見たので来てみました。」って岡山からのお客様もありました。これは『四国GajA』効果。

まあまあ県外からの観光客を作り出しゆうはさみ屋です。
うん、調子に乗ったね。

切り絵に添えられていたお手紙の最後の一文は

「いつまでもいい仕事をお願いします。」

でした。

頑張ります。
息子はいつの間にやら17歳やし。
頑張りますよー。

お待たせしていたふるさと納税の包丁16件・24丁完成。
お礼のお手紙16枚と宛名書き16件が一番大変でした。

何はともあれホッとしました。
さぁ、竹村くん、またご注文ください。

月曜日に愛知県からお客様。
はさみ屋のホームページで何度も鋏を買っていただいている植木屋さん。

もうね、うれしいです。

鋏を使ってもらうだけでありがたいのに愛知から高知まで会いに来てくれる。
四国を回られてるようでしたが、そのスケジュールにはさみ屋訪問を組み込んでもらえる。しかも「ブロク読んでたら麻雀とかイベント出店とか週末はいろいろお忙しそうなので月曜日に来ました。」って。こっちの動きまでご配慮いただいて。

お話してたらやっぱりこだわりがあって職人の匂いのする植木屋さん。
お客様に選ばれながらお客様を選んでる感じ。

「やっぱり仕事内容より値段のことばかり言われながら仕事してたらこっちも楽しくないのが顔に出るし向こうも楽しくないでしょ。自然に離れてしまいます。」

丁寧にやってたら時間はかかる。お金もかかる。

「そのあたりをわかっていただけているお客様の紹介から出来たお客様は理解してくれますよね。」

たぶんこのスジは誰もが理解出来ることだと思います。
大事なのはそれをどう貫けるか、やね。

腕とか仕事への向き合い方とかがきちんとあるから言えるがやろね。

もちろん値段下げて効率とスピードで勝負するのも一つの道。
それでおもしろいならそれで良し。

でも、それじゃおもしろくないなら違うところで勝負する。違うところの努力をせんとね。もちろん技術だけじゃなくて営業面でも。

そういう植木屋さんにうちの鋏を見つけてもらってうれしく思います。
他とも比べた上で「笹岡さんのが僕には合います。」って。

今回も地鏝(ジゴテ)を買っていただいて、

鋏を2丁ご注文いただきました。

「こうやって直に会って話するとこれから先、あれこれ細かい注文も付けやすいですからね!」って笑って帰られました。

ほらまた、しっかり仕事せんといかんなった。

頑張ります。

おそろしい程やって来るふるさと納税の包丁のご注文。最近は観光協会の竹村くんからの電話にビクビクしてます。
ようやくここまで来ました。16件分。24丁。

あとは砥いで磨いて柄を付けて箱に入れてのし付けて梱包してお礼のお手紙書いて発送するだけ。
あー、まだまだや。最初の注文が5月1日なので一ヶ月近くお待たせ中。来週中にはなんとか発送出来ると思います。働きます。

老眼のせいでコンタクトをつけたままだと小さな文字が見えづらくて、りんくんと因数分解の勉強をするのがしんどくなったのでメガネを買いに行きました。
裸眼なら近くも見えるので近視用のメガネを求めて。メガネなら取り外し自由やもんね。

最近流行りの安いお店と昔からある普通のお店、両方見に行きました。

やっぱり普通のお店で買いたくなりました。何が違うかはわからないけれど安心感にお金を払う感じ。そんなに再々買い替えるもんじゃないし。

はさみ屋もそんな風に選んでもらえたらいいと思いました。

フレームを選ぶのにどちらのお店でも一通り見て回ったのだけれど、ある場所を見ようとすると、どちらのお店でも店員さんから制止する声をかけられました。

「あ、そちらのコーナーは紳士用ですので…。」

2件ともで同じこと言われる。
僕はまだ紳士ではないようです。

老眼に襲われた42歳。
まだまだです。

この時書いた「瀬戸内生活工芸祭2014」の選考通知が届きました。

落選。

へこみました。
そんなに何が何でも出たい訳じゃなかったしダメもとで申請したのだけれど。ちょっと悔しかった。

申し込みに添付したのは3枚の写真だけ。他に何の文章も書いてません。写真だけの選考。

334件の申し込みがあって61件の合格だそうです。狭き門。

それから7名の選考委員の方々それぞれの選考にあたっての感想も文章で伝えてくれました。

これを読むと考えが甘かったなぁ、と思います。
3枚の写真だけが選考の材料やのにやっつけで撮ったし。
鍛冶屋なんて他にいないだろうから刃物の写真さえ送れば大丈夫、みたいな意識。

そうじゃなかった。
だからへこんだのかも。

もっときちんと準備して、たった3枚の写真でも仕事への姿勢や向き合い方を伝えられるようにせんといかんかった。

それから今回考えたこと。

工芸家と職人、作家と作り手、作品か商品か、みたいなところで戸惑いました。

今回のイベントは作家とか作品的な雰囲気のあるイベントだと思います。
今まで出てきたのとは違う感じ。

はさみ屋は決して(今のところ)作家ではないし作品でもない。うちの作るものは道具であって間違いなく商品。

が、今回申し込んでみて落選してみて、そんな場所にもチャレンジしていってもえいがやないろうか、って思えました。

むしろ行くべき。

作家ではなく職人としての気持ちや仕事への向き合い方を持ったまま。
さらに職人でありながら作家的感覚も培いながら。欲張り。

デパートの職人展に出る方が自分的にはもっと違和感あるし。
どちらかと言えばたぶんクラフトフェアの方が目指す方向に近い気がします。
そっち向いたらまた違う面からいろいろ学べる気がします。経験してみたい。

だから、またチャレンジしたいと思ってます。
次回は出店させてもらえるようにいろいろ考えてしっかり準備して。
とりあえず今年は見学に行こう。

落選したままじゃ終われんし、へこんだ気分はもうどっか行ったし。

3枚の写真でも、ひとつの品からでも「この作り手に会いたい」って思ってもらえるようになれたら素敵やもんね。

日曜日の試合中にグローブの紐が切れました。
人差し指と中指の間がパカってなりました。

涼太くん誕生のお祝いにチームのみんなからプレゼントしてもらったグローブなので実働17年。ざっくり計算して400試合くらいかなぁ。よく働いた。

こんなにマメに手入れして大事にした道具は他にない。

でも、他にもあちこち穴が空いたり綻んだりしてるのでこの機会に新しくしようと思います。

次のが壊れるまで使い切る自信はありませんが、もう少し現役でいるつもり。

このグローブはあんまりエラーしてません。
エラーするのは僕の右肩。

お疲れさまでした。

ってここまで書いてきたのだけれど、お別れするのがどんどんさびしくなってきたので修理に出してみようと思います。

新しいの買う気満々やったのになー。
心変わり。

行って来ました。
佐賀県『有田陶器市』
3日と4日の2日間。

陶器市本筋の通りではなく、通りから少し入った陶山神社の境内での出店。

さすが陶磁器の町。狛犬さんも有田焼です!

陶器市は1日10~20万人来るイベントで会場の商店街はすごい人出。

それに比べて神社はのんびり穏やか。

だけど、陶山神社の雰囲気にやられました。素敵な場所。

それからこの神社の宮司さんがまた素敵な方でした。僕より少し年下ですごく穏やかな人ながら有田という町への想いを熱く持っていて「有田の町を、有田の陶器市をこうして行きたい。」って。こういう人がリーダーであるべきですよって感じ。

「ここがダメ、あれがダメ」ってのは誰でも言える。
「だからこうして行きたい。」って言える人は少ない。
さらにそれをすでに実行し始めてるっていう凄さ。

いい人と出会えたなぁー。

やっぱり行って正解でした。

他にもたくさん素敵な出会いがありました。

佐世保から韓国海苔巻きを売りに来ていたかっこいい料理人のおじさん。初日に包丁買ってくれて、2日目のお昼にこそっと寄ってきて「今日の裏メニューはカレーです。宮司さんにチンしてもらってください。」って野菜たっぷりの挽き肉カレーを食べさせてくれました。うまかったー。
一緒に出店して仲良くなったお隣さんにお客さんには出してない裏メニューを出してくるシブいオヤジさん。それをチンしてくれる会場主の宮司さん。素敵過ぎなイベントでしょ。
いつかこの方のレストラン行きたいなぁ。佐世保のレストラン『Farm』さん。

ちょっと斜に構えて「チラシ配りに来てます。」って言いながらただブラブラしてた若い陶芸家の兄ちゃん。業界の本流でない少し外れたところで仕事をしてる感じが共感。

また別の「有田本来の石」を材料に、こだわってものづくりをしている陶工さんを紹介してもらって、あっと言う間にコラボの話が出来上がったり。
『有田×土佐』
1年後には発表することになるんじゃないかなぁ。

G.W.の一週間で100万を越える人を集めるデカいイベントを持つ町ならではの歪み、伝統産業が今でもお金を生み出し続けてるからこその難しさ。(二級品とか安売りとか高過ぎる出店料とか…)

そんな話も聞けて勉強になりました。

何より陶山神社の魅力。

素晴らしかった。

はい、鳥居も陶磁器です。
土佐和紙で鳥居作れんものか。

やっぱりね、この前書いたけど「売りに行く」じゃなくて「会いに行く」です。

もう本当に売りに行くふりして素敵な人を探しに行ってる感じです。

「売る」って部分を疎かにし過ぎかもしれません。
でも、いくら大声出して呼び込んでアピールしても売れんがよねぇ、刃物は。
安さで勝負ならまた違うがやろうけどね。

それでも鋏や包丁を見て、僕が研いでる姿を見て、研ぎ直した包丁を使ってもらって、何か感じてくれる人は佐賀にも福岡にも見つけた自信と見つけてもらえた自信はあるので大丈夫な気がしてます。

佐賀の有田。
必ずまた会いに行きます!

遠いけど。

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