鍛冶屋日記

月別: 2019年8月

さー、前回予告した通りピンチがやって来ました。

英二さん(親父さん)が入院しました。

昨日手術。無事成功。

「右肩腱板損傷」

ピッチャーみたいでしょ。

半年くらい前から肩が痛くて金槌を振るのがきつそうな時がちょいちょい。鍛冶屋歴60年超。そりゃ勤続疲労も襲いかかるよね。

痛いなら「これ叩いちょけ」って置いとけばいいのにそれが出来ない、言えない。

働くために生まれて来たような人なので、痛いながらも我慢してやってました。やってくれてました。病院に通いながら注射したり電気当てたりしていたけれど良くならず。手術を提案されあっさり選択。相談なんてありません。

「来月手術するき。」以上。

 

入院予定はひと月半。

もう一度痛みのない肩で金槌振りたいがよね。今シーズンを棒に振っても来シーズンの復活を目指すがよね。77歳。もう本当にアスリート。

手術自体は難しいものではないのだけれど、繋いだ腱をゆっくりゆっくり伸ばしていくためのリハビリが大変ながやって。痛いがやろうなぁ。でも、ぼーっとひと月半ベッドで寝よりなさいって言われたらたぶんシュルシュルしぼんでしまう人なので、頑張る必要がある方がいい。きっとやり遂げることでしょう。ベルトハンマーに右肩を付けて(桑田さんのイメージね)マウンドに戻ってくる日は必ず来ます。

 

問題はこっちです。工場です。

エースを欠いたはさみ屋は成り立っていくのか。

まぁ、こうやって、いや、こうでもせんと、世代交代なんて成し遂げられんよね。エースが全然衰えんしサボらんし。

 

このひと月半、退院してもすぐにマウンドには立てないと思うのでその先数ヶ月で、どこまで伸びていけるか。そもそも乗り越えられるのか。

 

ひと月半先はちょうど刃物まつり。

うん、たいへんそう。

 

やります。

 

 

お仕事上でなかなかのピンチの瞬間が近づいてきております。来週から。ピンチの内容はまた次回。

 

8月13日に研ぎ直し講習会の先生をやって来ました。

JAさんの年間通した学びの場「あぐりライフスクール」って活動の一コマを担当です。ずいぶん包丁研いできたけど講習会として教えたことなんてなかったわけで。まぁ、誰でも何でも初めての時はあるわけで。

 

JA職員の同級生から依頼があって

「包丁研ぎの講習会やらん?報酬出るけど。」

「いくら?」

「2万円」

「やる。」

 

で、決定。2時間講習会して2万円。時給1万か。いい仕事や。

が、そう上手くはいきません。

例によってギリギリまで準備してなくて前日にしゃべる内容を考えてPCに打ち込んで印刷。生徒さんに体験してもらうために研ぎ桶と砥石3種類を2セット新たに構える。

準備に1日かかったので時給1万のはずが日当1万に減額。砥石代の投資もあるのでもっと目減りしました。そんなもんやね。

 

当日は約20名の生徒さん(全て年上女性)に20分くらい包丁の良し悪しや研ぐ時の注意点なんかをしゃべってから、あとは実際に体験してもらいました。

各自お使いの包丁を持って来てもらって研いでもらう。「もうちょいこうですね」って言いながら最後は僕が仕上げたり。頑張って黙々とやってみてくれる人、「先生にお願いしよ。」って雰囲気ありありな人。いろいろでしたが全体的にはみなさん熱心に取り組んでくれました。

 

講習会終わって片付けしてたらある生徒さんから言われました。

「包丁買う時、包丁研ぐ時は必ず先生のとこに行きます。他には絶対行きません。」

本当にうれしい言葉でした。社交辞令でもうれしい言葉。

目指していたのはまさにこれ。

講習を受けてくれた20人のうち何人なのかはわかりませんが、この先1人でもはさみ屋に来てくれたらうれしいなぁ。時給とか日当じゃないところの効果。未来のための種蒔き。あ、このフレーズ久しぶり。

隣の隣の佐川町での講習会だったので

「いの町のこの場所に刃物屋さんがある。鍛冶屋さんがおる。」ってことは20人みんなに伝わったと思います。楽しみに待ちます。またこんな機会があればやりたいです。ご依頼ください。

 

 

さぁ、次のイベントは大阪遠征です。

9月7日(土)8日(日)

大阪海遊館にてイベント出店。

昨年は大雨で流れて行けなかったので2年ぶり2度目の出場。

2年前は大変良く売れたので楽しみな遠征。

最近鋏ばっかり作ってたら包丁が全然品薄状態になってるのであと2週間、頑張って作ります。

 

大阪近辺のみなさま、海遊館で待ってます!

 

 

「理屈に合わないことをどれだけやれるかが青春だとでもどこかで僕ら思っていたのかなぁ」RADWIMPS『正解』より

だとしたらまだ今でもしばしば青春。

 

4月の終わりに文章の寄稿依頼がありました。母校の先生から。全然別のとこで出会った僕よりずっと年下の先生から。

「学校の校報誌にOBとして文章書いてもらえませんか?」

こういうお誘いは断らない。断らない脳みそになっているので悩むことなく「いいですよー。」のお返事。これ即決出来る自分好き。

お返事してから文章のボリュームと締め切りを聞く。

「テーマは自由、1600字程度、締め切りは1ヶ月後、読むのは在校生とその保護者、それからオープンスクールで入学希望者にも配ります。」

原稿用紙で4枚か。多いね。

それでも大切なのは安請け合いです。

「◯月◯日締め切り、1600字、テーマは自由」これならほとんどの人が出来ること。1600字文章を書くなんて誰でも出来る。夏休みの読書感想文だってあらすじで分量かせいで提出したもんね。ただ、そこで結果を、読んだ人がどう思うか、かっこよくまとまるか、無様な文章しか書けんかったら恥ずかしい、とか考えるから断りたくなるのです。そこさえ考えなければ出来ないことはない。間違いなく誰でも出来ること。だから受ける。そこで自分のベストを尽くします。そしてステキなことにその結果、自分の成長に繋がります。たぶん。「やってくれませんか?」って言われなければ自発的にやるはずもないことをやるのだから成長しないはずがない。そうやって無理矢理こじつけて「自分すごい」を植え付けて来ました。いろんな場面で。

 

まずは文字数をカウントしてくれるメモアプリをダウンロードして、今の中高生(母校は中高一貫校です)に向かって伝えたいことを考えました。

中高生に伝えたいことなんて本当にRADWIMPSが歌ってるように

「大切な友達との仲直りの仕方とか大好きなあの子の振り向かせ方とかばっかり考えよっていいよ。」だと思いました。

それさえしっかりやっちょったら社会に出ても困らんし仕事しよってもそのスキルは活きる。と思う。そこサボったらあとあときつい。

歌詞をパクるわけにはいかないのでまた違う角度から鍛冶屋の仕事、町での活動、中高時代の思い出をからめて考える。書いてみる。

あ、このテーマやったら1600字じゃ半分も収まらん。「多い」と思った1600字なんてあっという間に到達します。なんとかまとまりそうなテーマを選んで書いてみたけど余裕で2000字超え。削っても削っても2130字。

もう削れるとこなくて、ご依頼いただいた先生に連絡。

「1600って言われたけど2000超えても大丈夫ですか?」

数日後に「2000字超えても大丈夫だそうです。」のお返事。

仕上がりました。締め切り10日前に原稿送って1人達成感に浸りました。

この度無事発行されたようで、完成した校報誌を送っていただきました。写真が金髪時代。

新聞にも出た。テレビもラジオも出た。ついに文章の寄稿依頼まで辿り着きました。なかなか頑張ってるんじゃないかと思います。

 

次のチャレンジは「包丁の研ぎ方講習会」

8月13日に20人を相手に先生をやって来ます。幸せなことに講師料もらえます。2時間で2万円。大きい。

もちろん時給1万円のその先も目指します。その中の1人でも2人でもはさみ屋のお客さんになってもらえるように。準備します!

 

 

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