鍛冶屋日記

月別: 2014年3月

2週間くらい前のこと。
「高松でこんなイベントありますけど出店しませんか?」って声をかけてもらった時に悩んでしまいました。素敵な感じのイベントです。が、躊躇してしまいました。

県外へ、さらに海外へ、ってどんどん進出してる刃物屋さんもたくさんある。日本全国飛び回って売ってる鍛冶屋さんもおる。

でも、自分の考え方はちょっと違ってて、地元のいの町でさえまだお客さんになってもらえてない人いっぱいおる。お客さんになってくれる可能性のある人いっぱい。
だから、地元の町でいいじゃん。いの町全部にお客さんになってもらえることが出来たなら、きっと隣の町にも聞こえるはず。隣の町まで認めてもらえればその先には隣の県にも届いたり。前途洋々。って考え方。
地道やけどこの方がうちにとってはやりやすい。経費をかけて外に行くよりも。

そんなこと考えてる時に高松へのイベント出店の紹介をいただく。

めずらしく考えてしまいました。お返事は保留して考える。

今、県外へ出て売りに行く時なのか。もっと工場にこもって作ることをがっつりやる時なのか。
販路開拓をいろんな方向からやってきて、作る方が間に合ってない場面も時々あるし。

ちょっとモヤモヤ。

だから、ある人にさらっと相談。

「どう思う?」

「笹岡さんは何やってても、高知で、いので仕事してる、ってことはみんなに伝わるからいいんじゃないですかー。ガンガン出て行って。」

ありがとう。
よし、行こう。
たぶんビビってただけです。アウェーに乗り込むことに。

その翌日にまた別の方向から声をかけられる。

「G.W.に佐賀へ売りに来ませんか?」

「行きます!」

単純。
もう切り替わってますから。
そう言えば滋賀からもお誘いを受けちょった。夏に行きます。

ビビった自分を自覚したらガンガン外へ行くことになってきました。
もちろんその都度吟味はするけど、今きちんと繋がってる人から誘われたのだから行くべきだ。

高松のイベントは書類選考があるので出店出来るかどうかわかりませんが、とりあえず申込みはしました。

佐賀「有田陶器市」は5月の3日・4日の出店が決まりました。

作るの間に合ってないなら間に合うようにすればいい。それだけや。

『イベントをやるのは普段会えないお客様に会いたいから』

どこかで読みました。自社でイベントをやってる方の言葉です。いい言葉です。

「売りに行く」じゃなくて「会いに行く」

これカッコイイのでちょっとこの姿勢で走ることにします。

あとはやってみてから考える。
そうしよう。

自分達で行事を作ってそれに合わせて前日に大阪から帰省した友達と朝まで麻雀して寝ずにその行事を実行する。で、あっという間に日曜日が終わる。
5日経ってもまだ眠い。

この度、ある申請書を書きました。
販路開拓のために使える補助金の申請。

例によって締め切りギリギリまで動かない。
話を聞いた瞬間に「申請しよう!」って思ったくせに動かない。3週間が過ぎ、本当にギリギリになってようやくPCの前に座って半日かけて仕上げる。

書かされた項目は
①企業概要
②顧客ニーズと市場の動向
③自社や自社の提供する商品・サービスの強み
④経営方針・目標と今後のプラン
⑤実行したい事業の内容
⑥その効果

書き始めたらノッてきます。キライじゃない。

数字を眺めての売上の分析、どこを目指して動いてるのか、成功してるのは伸びてるのはどの部分なのか。
普段仕事しながら「よし!このまま行こう!」とか「ここはしんどいにゃあ…」とか考えてることなのだけれど。あらためて文章にしてみる。言葉にして並べてみる。

うちの主力メニューは「一丁あたり数百円~の研ぎ直し」
間違いない。
これをその先の売上に繋げる。
この戦略も間違ってない、はず。

そのために、どんなお店になればお客さんが入りやすいか、どんな工夫をすればまだ気づいてもらえてない人の所まで届くのか。

やれることはいっぱいあります。
お金があったらやれることも増えるし。余裕が出来たらこうしたい!って普段から考えることも大事やね。そのために蓄えることも大事。

申請が通るか通らないかは別にしてこういうのを見つめ直すのは必要だ。
もちろん通ったらありがたいけど。

自分の仕事を再認識して目指すべき道を再確認。
文章に書き起こすことでその目指すべき道がよりクリアに見えてきたような気がしました。

補助金申請という初めてのチャレンジ。
僕の言葉がどう判断されるのか。
審査する人に届くのか。

楽しみです。

「さぁ、ここからやるぞ!」ってところでちっとも熱さを感じられずにがっかりしたり、その愚痴を聞いてもらってほっとしたり、「それはおせっかいで」ってバッサリ切られたり。何故だかその切られたバッサリ感に安心したり。
まぁ、せっかく新しく始めたことなので何か見えてくるのか何にも生まれないのかわかりませんが、もう少し続けてみようと思います。自分のためになるようには絶対するし。自分で。

この度、今年の目標をひとつクリアしました。昨年末の忘年会で見つけた目標のうちのひとつ。

「ふるさと納税」

いの町にふるさと納税してくれた方へのお礼にいの町の特産品をお送りするシステム。
そのお礼の特産品にうちの品を入れてもらおう!ってこと。
もちろん生産者にとっては売上です。

忘年会の席で町の年下議員さんから「やりましょう!」って勧められ、観光協会さんに「協力しますよ。」って言葉をいただき、すでに特産品を出してる土佐の赤牛を育てて売るお肉屋さんにも「結構出るき、絶対やった方がえい!」って言ってもらう。

年明けに前出の議員さんから「役場に確認して来ました。刃物もOKです!」って連絡。
わざわざ聞きに行ってくれてました。ありがたい。

それで写真と説明文を書いて観光協会さんにメールして「役場に提出しました。準備お願いします。」って言ってもらったのが2月半ば。

それから町のホームページをちょくちょく覗いてたけれどなかなかアップされず。
ちょっと忘れてしまっていたら昨日「注文入ったのでお送り先、その他注意事項メールしときます。」ってお電話をもらう。

急いで確認したらちゃんとアップされてました。
いの町へのふるさと納税はこちらから。

で、本日出荷。
町長になりすまして、じゃなくて町長から委託を受けて商品発送。

はい、目標クリア!

いろんな人のおかげです。
そのホームページに載ってなければきっとはさみ屋の存在すら知られることもなかったであろう県外の方の元へうちの品が旅立った訳です。
包丁が欲しかった人ではない、ただ、いの町に協力したいって方のところへ。

赤牛や文旦やマンゴーや土佐和紙やアイスやお酒の中から選んでもらう必要はあるけれど。
選んでもらえた。
その時選んでもらえなくても「あ、いのでも刃物作りゆうがや」って知ってもらうだけでも効果はあるよね。

本当にいろんな人のおかげで、またひとつチャンネルが増えました。
言葉にすると軽いけれど、本当に「ありがとう」です。

そんないろんな人と出会って繋がるってことが何より大切な気がしてます。その想いはどんどん強くなっております。

こうやってちゃんと結果出るし。

だってあの飲み会行ってなかったらこの売上はなかったわけで。3ヶ月とか半年とか1年先に実現しちゅうかもしれんけど。

そして、その大切なことを頑張る次の世代に伝えたい。けど、これがなかなか難しい。
ま、これは気長にやります。
そもそもおせっかいやきね。

あれやこれや書きたいことや書くべきことがたまっていながら書けてないとどんどん書くことから逃げてしまいます。

でもとりあえず今告知すべきこと、書きます

『職人イドバタミーティング』

やります!

そこらで真面目に働く若いやつらを集めてあれやこれや話します。
モノを作ったり、売ったり、キレイにしたり、カッコよくしたり。
そこにあるのは想いです。心意気です。

・親の仕事継いでやりゆうけど今まで通りじゃダメな気がする
・常連さんの年齢層が高いがやけど何とか若い世代にもお店に来てもらいたい
・新しいことせんといかんてのはわかっちゅうがやけど何したらえいかわからん
・競合するチェーン店の安いサービスに技術じゃ負けてない自信あるけどどうやってアピールしたらいい?
・一応頑張ってきて忙しくなって一人じゃ回らんなってきたけど、人を雇うってどうしたらいいがやろ?
・こんなこと学んでみたいけど何処へ行けば教えてくれる?

そんな悩みや課題はいろんな職業に共通するものだと思います。

一人で悩み一人で立ち向かってる人もいっぱいいます。

業種が違っても同じような悩みがあるならそれを共有してお互いにさらけ出してみたらなんか新しい方法見つかるかも。ヒントだけでも。そんな未来を描いております。

それから、

・本業の技術活かしてこんなことやってみたら新しいお客さん増えたよ
・ちっちゃいことやけどこんなことしたらお客さん喜んでくれたー
・結果はどうなるかわからんけどこんなことにチャレンジ中です

そんな成功体験・チャレンジ魂を持つ人にも来てもらいたい。

やってみたこと、やってみてること、やっても効果がなかったこと。
後に続くやつらに話してあげて欲しいです。

ここで言う職人は大工さんや畳屋さんだけじゃありません。散髪屋さんやクリーニング屋さんはもちろん、パン屋さんもカメラマンやデザイナーだって職人やし、モノを仕入れて売ってる八百屋さんも薬屋さんもその道のプロです。
心意気があるか。気概があるか。それがこの場所の職人の定義。

いろんな仕事のいろんな課題や成功が違う仕事でもきっと活かせるはず。

硬いことばかり書いてしまいましたが、そんな難しいことばかりじゃなくて雑談しましょう。
本気が集まればバカ話だけでも強くなれるよね。

是非是非遊びに来てください。
もちろん職人さんと会いたい話したいって方も大歓迎。お客さん目線の意見もあった方がいい。

日時:3月16日(日)
午後1時~日暮れまで
(出入り自由・日が暮れても話が終わらないならどこかへ一緒に飲みに行けばいい)

場所:いの町刈谷農園のトレーラーハウス
(仁淀病院の南300m・コーラの自販機目印)

参加費:300円

飲み物食べ物ご持参で。
※コーヒーは持って来てはいけません。
「toshimori coffee」は営業中なのでガブガブ飲めます。

職人が職人としてきちんと生きていける世界のために、今ある仕事を次の世代にも繋げられるように、高知の日本の『職人シーン』をここから盛り上げていきましょう。

もう本当にお気軽に。
お待ちしております。

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