親父の背中

TVの放送終わってホッとしました。
取材してもらう時は全然緊張したりしないのだけれど、今回は2日+半日2回の長い長い取材だったので、いっぱい撮られていっぱい訊かれていっぱいしゃべったので、結果それがどんな6分間に仕上がるのか想像が付かず、放送直前はめずらしく緊張してハラハラで家に帰りたくなりました。家で観よったがやけど。
カッコよく仕上がっててうれしかったです。

新聞でもテレビでも取材の度にたいてい訊かれる質問。

「どうして鍛冶屋さんになろうと思ったんですか?」

訊かれる度に考えます。
子供の頃から興味があった訳ではなく、モノづくりが好きだった訳でもない。手先が器用と言われたこともなければ、継げと言われたこともないし、継ぐ気なんてさらさらなかった。25歳まで。

幸いあまり苦労せずに勉強は出来たので大学行って遊んで遊んで、その時期が終わって仕事するってなった時に(一応他のところに就職はしたけれど)浮かんだのが「鍛冶屋さん」でした。

鍛冶屋さんというよりは「親父の仕事」でした。

仕事の中身は全然興味なくて見たこともなかったけれど、毎日毎日朝から晩まで工場からカンカン音が聞こえてて。油と鉄粉で真っ黒になりながらひとりきりで働きゆう姿。でも、それをすごいとか思ったこともなくてそれが当たり前の光景。

仕事がどう、じゃなくて親父の姿です。

「親父の背中」ってやつです。

親父の手元は見てません。

だから理由を聞かれると「親父がカッコよかったから。」しか出て来ない。それが正解ではないような気もするけれど、理由を付けるとすればそれしか出て来ません。

この仕事で稼いで僕らを育ててくれたお手本がいた。それを僕もやってみたい。出来るんじゃないか、という勘違い。
25歳の僕は言いました。お願いしました。

「鍛冶屋をやらせてください。」

「くれませんか?」やったかも。

それから20年近く経って目の前のお手本のようには全然出来てないし、仕事面でも親父のやってきた形とは全然違う方向に進んでますけど。

「親父がカッコよかったから。」

僕もいつかそう言われたいです。

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