お菓子事件

うちの奥さんが言いました。
「父さんに報告しちょきや。」
少しもじつく涼太くん。
「どした?なにした?」

「んーとねぇ、学校でお菓子食べたのがバレて怒られた。」

十数名一斉検挙らしい。

「おー、やるじゃん。父さんも小学校の時、掃除の時間に体育用具倉庫で友達と二人で隠れてガム食べよったら先生にガラガラってドア開けられてバレたことあるで。」

階段下の狭い暗い密室は甘いガムの匂いがいっぱいですぐバレました。
その時も『隠れてお菓子』が蔓延していて何人も逮捕されました。最終的に誰が最初ぜよ、ってことになり一学年上のけんいちくんが責任を独り占めさせられて、うちの教室まで来て帰りの会で謝罪して一件落着。

これは大人になってからも同級生と飲むと
「あの時のけんいちはかわいそうやったにゃあ…。」
って時々引っ張り出される定番エピソードです。

横で聞いてた凜くんが言いました。
「おー。遺伝や。」

涼太くんが呟きます。
「けど、なんでバレたかわからんがよねー。」

誰かが密告したに決まっちゅうやん。全校生徒全員にお菓子配っちょかんと絶対バレるわや。俺は現行犯やったけど。

「それでめっちゃ怒られて『きちんと親に話してなんて言われるか聞いて来い!』って先生に言われた。」

「………。」

先生ごめんなさい。
笑い飛ばした挙げ句に自分の武勇伝まで披露してしまいました。

今更怒れんしねぇ。反省。

凜くんには伝えました。
「という訳で、学校でお菓子食われんぞ。」

「わかったー。」

こんな感じです、先生。
以後気をつけるのでお許し下さい。

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