自販機物語 その一

うちの工場の前にはジュースの自動販売機が並んでます。Dydo、KIRIN、SUNTORY。

10月の初めにアサヒさんが営業に来ました。
「自販機置かせて下さい。」
二十代半ばの今風のちょっと男前な黒いスーツの兄ちゃんでした。条件がまあまあ良くて絶対損せんシステムだったので置いてみることにしました。
「かまんよー。置いてみいや。」
「ありがとうございます!」

それから三週間近く何の連絡も無し。どうなっちゅうがやろうって思いよったら突然電話がありました。

「明日10時に設置に行きます。」
「はい、どうぞ。」

五分後にまた電話。

「今、上司からお電話がありまして11時に変更になります。」
「…はい。」

『上司からお電話』はおかしいと思いました。

つづく。

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