来ました。
「名前は?」
「アヒアン。」
ユダヤ人・189㎝・デカい・23歳。
月曜日のお昼にやって来て半日仕事をじっと見てました。
「Try?」
テントを担いでヒッチハイクで日本縦断している(西表島から沖縄・九州・山口・広島を経て愛媛から高知に入って、この後北上するらしい)アヒアンに聞きました。日本語は充分通じます。
「今日はどこで寝る?」
「ンー、キマッテマセン。」
一人の友達の顔が浮かびました。神戸出身、いのへ農業しに来て古民家に一人暮らししている「とっしゃん」です。この前アルゼンチンからの旅人を受け入れていた素敵な友達。
「イスラエル人泊めちゃってくれん?」
「まじっすか!?いいっすよ。」
あっさりOK。宿確保。
晩はちょうど飲み会の予定があったので一緒に行って晩ごはんとビールとワイン。
宗教上の理由で食べられないものがいっぱい。エビ・タコ・イカはダメ。
「ウミノモノハサカナダケ。」
「オニクヲタベテ3ジカンハミルクカラノモノ(乳製品・バターを使ったお菓子も)ハタベナイ。」
日本人なら言うはずです。
「エビおいしいのに…。」
それからとっしゃん家へ預けに行って3人でしばし語らいました。
イスラエルには兵役が3年間あること。女の子も2年間あること。それを終えたらだいたいみんな長い旅に出ること。イスラエルで忍術を習ったこと。日本に来て3ヶ月半。高知に来たのは日曜市を見るため。
「オオキイマーケットハモノモヒトモイツモオモシロイ。」
高知の後は香川で讃岐うどんを食べてから神戸の教会を目指し、さらに北海道までヒッチハイクで行って飛行機で戻って富士山に登ること。9月にイスラエルに帰って10月から大学に行くこと。
異文化聞くのとても楽しい。
こんな旅を経験してダメな大人になるはずがない。
2人でとっしゃん家まで歩く途中でアヒアンが静かに言いました。
「アシタハ、ナイフツクリタイ。」
あ、明日も来るがや。
「オーケー。お昼に迎えに行く。」
続きます。
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