fantasista

「これ剃ったら涼太が負けるかも」って思って剃らずに伸ばし続けたヒゲを剃りました。もう一週間前かー。

11月3日(火)
ヒゲだけじゃなく、担げるもんは担いぢょこうと準々決勝の時と同じ服・同じBGMで会場の春野球技場へ。
会場では準決勝のもう1試合、「明徳vs.中央」が始まるところ。最初は観戦してたけれど「涼太に会わなくちゃ」と思ってアップする丸の内イレブンを探す。見つける。見つけたけれどフェンスの向こう。眺める。涼太のアップを見るのも最後かも、って思いながら眺める。

そのままベンチ裏で準備する涼太をスタンドから眺める。第一試合が終わって敗れた中央高校の健太(鴨田FCのチームメイト・つまり幼なじみ)がスパイクの紐を結ぶ涼太に声をかけてくれるのを見つける。素敵な光景。

その後スタンドから涼太を呼ぶ。裏へ呼び出して話す。
「ポジションは?」
「今日はボランチ。8人でしっかり守って前の2人でカウンター狙い。」
相手は強い。間違いない作戦。
「じゃあ、おまえから前線へのパスが大事な訳やね。」
「うん。」
「頑張れ!とにかくシュートのイメージ。ゴールのイメージ。勝つイメージ。これだけや。」
「OK。」

緊張感バリバリの雰囲気。でも涼太はそうでもない。リラックスムード。

試合開始。
ほんの15分、あっさり高い個人技でズドンと先制される。全然崩されてないのに1点取られる。
正直この時点では「何点やられるがやろ」って感じ。さすがに強い高知商業。

苦戦しながらも踏ん張る丸の内。
「0-1」で前半終了。
1点リードされてる分、前の試合ほど応援してて苦しくない。試合会場外に出てタバコを1本。
今まで小学校一年生から涼太だけを見てきた親としての前半の涼太の動き。
「いつもよりいい。動けゆう。キレキレや!」
前の試合準々決勝よりも格段に動きがいい。充分やれてます。本当にそう見えました。
スタンド下のトイレが競技場のベンチのすぐ裏であることに気づいてたのでトイレの窓から声をかけに行く。
「涼太!」
こっちを向いた涼太に
「いいぞ!続けろ!」
笑顔が返ってくる。

再びスタンドに上がって応援。

後半、高知商業選手交代。
エース・たくみ登場。
数分後、切り札・堀見も投入される。
2人とも 中学時代のFCコラソンのチームメイトです。同じチームだったけれど2人はトップチームで大活躍。涼太は卒団までBチーム。差がありました。こっちからしたら大きな大きな差がありました。
でも、今、同じ舞台に立ってます。涼太の運。涼太のセンス。それからもちろん涼太の努力。そんなの全部を活かし切って同じ舞台に立ちました。そりゃ感慨深いです。彼らの実力は恐いけど、2人が出てきてくれて相手にとって不足なし。

試合に戻ります。
じりじり続く「0-1」の時間。
「やっぱ強いなぁ、商業。」
って思いながらもなんか希望はチラつく試合展開。まだ何かあるって思わせてくれる丸の内の戦いぶり。そして残り10分をきった時に相手陣内で得たフリーキックの場面。

涼太がボールをセットに向かいます。動画を撮るべくiPhoneを構える親父。
手を上げて合図するキッカー。絶妙の弧を描くボール。
「よし!」
キャプテンの足にドンピシャ!ゴール!同点!叫びました。4回叫びました。

俊輔に魅せられ、ヤットさんに憧れたサッカー少年がフリーキックを蹴りたいと思うのは当然です。そこに憧れ続けたやつがプレースキッカーというその役割をチームの中でしっかり勝ち取って、この大舞台で強い強い相手に1点ビハインドの場面でフリーキックで同点を作り出す!
ドラマです。少なくとも見続けて来た親にとってはものすごいドラマです。

2015年11月3日14時26分
涼太がヤットさんになった瞬間です。
「背番号7」

試合に戻ります。
同点に追いついたこの時残り8分。やっぱり強い高知商業。
ロスタイムに入ろうかってところで1点取ってくる。どうしてそのこぼれ球がたくみの前に転がるかなぁ。

ロスタイムです。
落ち込む選手に監督の先生が叫びます。
「こっからやろうが!」

センターサークルに向かう涼太も手を叩きながら周りに声をかけてます。たくましくなったなぁ。そういう時に声出せる選手、好きです。

そこからまだドラマがあるなんて思ってませんでした。最後まで戦ってほしい。それだけでした。が、最後のチャンスを活かす丸の内。ロングスローから同点ゴールを決めたところでホイッスル。また叫んだ。
すごい試合です。本当にすごい試合を見てました。しかも「勝つでこの試合!」って本当に思ってました。

延長突入。
延長後半、また涼太がビッグチャンスを作り出しました。コーナーキックからのサインプレー。キッカーが選んだのは単純に上げるのではなく、フリーの味方にグラウンダーのパス。後で聞いたら「あれは時々やるプレー。ボール置くときにアイコンタクトがあったきね。」
ここからのシュートは惜しくも本当に惜しくもポストにはじかれる。でも頭を使ったナイスプレー。
あの場面でゴール前に放り込んで混戦からあわよくば、ではなくて確率が高く思える相手の裏をかくプレーを選べる冷静さ。おしゃれ。俊敏さとか身体の強さではないところで勝負してきた涼太の真骨頂。親バカですみませんが、ここにもヤットさん的スタイルを垣間見ました。

そして延長は両チーム無得点。
「2-2」で試合終了。
勝負はPK戦へ。

涼太は3人目で決めました。
が、試合には敗れる。強豪校の強い気持ちに押し切られ、PK 3-5で丸の内の長い戦いが終わりました。ナイスゲーム。

相手5人目のシュートが入って勝敗が決した瞬間、うなだれ膝から崩れて芝に突っ伏す仲間のゴールキーパーに真っ先に駆け寄って肩を叩いたのが涼太でした。
これを見た時に一番泣きました。さすがです。いい子だ。いい子に育った。


本当に全部見せてくれました。ハイライトのフリーキックだけじゃなく、リードされた場面で味方を鼓舞している涼太。最後の場面でGKを気遣う姿。試合後にライバルであって友達でもある相手チームの選手に呼ばれて一緒に写真を撮る姿。応援席に挨拶に行く胸を張った姿。

最高でした。

応援席とは反対のスタンドで1人で見ていた僕の方に帰って来た時に見せてくれた晴れやかな最高の笑顔。やりきったねぇ。

目があって最初の言葉。 最高の笑顔で

「だれたー!」

よくやった。カッコよかった。
こんな感じを味わえる親、なかなかおらんろ。

小学校1年生からサッカー少年。
高校3年生までサッカー少年。

肉離れもありました。骨折も捻挫もありました。

6歳でサッカーを選び素敵なコーチと素敵な仲間に出会って楽しくって泣いて喜んでボールを蹴って、少6でこんな選択。
2009年12月12日
FCコラソンへ。

3年後はまた次の選択
2012年11月19日
丸の内高校サッカー部へ。

そんな選択と努力の積み重ねがこの日の大きな舞台にこの日のFKに繋がってるわけで。

今涼太の周りにいるライバル達と違って、足が速いわけでもなく身体能力が高くもなく、スピードとスタミナに欠けて1対1ではやられてしまう、小・中・高全ての年代で出会ったコーチのみなさんから「課題はスピードとスタミナ」と言われ続けた。走るのが苦手。キライな訳じゃなくて苦手。
「中学入って走る練習してスピードがついたら」「高校入って無茶苦茶走らされてスタミナがつけばいい選手になるはず」思い続けてきたけれどそこは高3の今でも埋まったとは言えません。
そんな選手がパスの技術とキックの精度と視野の広さと戦術眼とかアイデアとかいわゆるサッカー理解力で勝負してこの舞台に立つ。想像してませんよ。
走れないと話にならない現代サッカーでは少し時代遅れ感もあるファンタジスタ的なプレースタイル。それでもここまで来た。最高にカッコよし。

そして最後の2試合、フル出場で走り切ってドリブルで勝負する姿もヘディングで競る姿も相手のキーマンをマンマークで抑える姿も身体を張ってイエローカードをもらう姿も見せてくれました。

そして最後の大舞台の翌朝の新聞でこんな風に褒めてもらえる。

「中盤の笹岡らが100分休むことなく上下運動を繰り返した。」

1番苦手なとこを最後の最後に褒めてもらえた。すごいなぁ。あー、褒めてばっかり。

涼太の18年、サッカー始めての12年。全て自分で選び取り、素敵な仲間と出会い素敵な指導者に巡り合う才能。たぶんこれが彼の一番の才能だと思います。

だから心配なし。これから先も心配なし。

充実感と達成感と満足感。
それから負けて2日後くらいからじわじわ起き上がってくる悔しさ。「あー、もう一試合見たかったなー。PK負けかー。決勝やったのになー。」

人間欲張りです。

自慢の息子の高校サッカー選手権。高知県でベスト4。準決勝敗退。
これから先、これ以上おもしろくて興奮するサッカーの試合を見ることはありません。ワールドカップだろうがチャンピオズリーグだろうが。人生最高のゲームをしっかり見ました。

本当やりきったね。出しきったね。
お疲れさま。カッコよかったで。

あ、まだまだ負けられません。
僕も頑張ります。

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