問屋さんなら

日本で一番サッカーが上手な23人です。協会がどうとかいう意見はよくわからないけれど、選手も監督も勝ちたくて勝つために精一杯やった結果やもんね。お疲れさま。次また期待して応援します。

今年は春から「もし自分が町の散髪屋さんとかクリーニング屋さんやったらどういう作戦で稼ぐか」ってことをずっと考えてましたが、最近は「もし自分が刃物を扱う問屋さんだったら」ってことを考える機会が増えました。

取引先の会社を継ぐべく社長の息子さんが都会から帰って来て仕事に入って一緒に飲む機会が出来たり、また別の会社の営業の若い子が僕の話に耳を傾けてくれて自分の考えをしゃべってくれたり。刃物業界の未来について。

こんなことずっとなかった。「不景気やねぇ。売れんねぇ。」ばっかりだったこの数年。

僕が仕事に入った17年前はうちの仕事も100%問屋さんへの卸で成り立ってました。それがどんどん減って、その穴を埋めるべく自店での研ぎ直しのアピールやイベント出店、ネット通販とかやれることをやって来てはさみ屋の未来は前途洋々です。

問屋さんに頼り過ぎない仕事の仕方です。卸先からの注文が減っても、例えば大きな取引先が廃業しても倒産しても、大丈夫な体勢。
JAさん以外に売り先を作る農家さんと一緒やね。

後継者育成とか職人の地位向上とか立派な事を謳いながら全然動けない業界や組合は気にしないようにして、違う道を選んで来ました。工場に籠って作ってばかりじゃ仕事がないから「選ばざるを得なかった」が正しいのかも。これがラッキーやったがやけど。

でも、そんなちょっと異端な一鍛冶屋の話を聞いてくれる経営者さんの卵や、やる気のある営業さんが現れたのはちょっとうれしい。
(わからん人にはどれだけ説明してもわかってもらえんけどね。)

早く総取っ替えして世代交代すればいいのに。会社も組織も。
きちんと考えてる若い世代に全部自由に預けてしまえばいい。そこでうまくいかなかった時にケツふくのがお金や地位のある方々の仕事やろ。
どこの組織も一緒です。

話を戻して、もし自分が問屋さんならどうするか。
「問屋さんからの注文なくても仕事見つけますよ。」を目指してやってきて、インターネットの凄さや製造者と消費者さんが直接繋がることの強みを感じる中で、また問屋さんがどんどん在庫を持たなくなって来た今「もしかしたら問屋さんて絶滅するんじゃないか。」とまで思ってたはさみ屋の考え。それを踏まえた上での生き残り作戦。

①問屋さんとして直営店を持つ。
出来れば実店舗。難しいならネットの中で。小売店さんとの関係で難しい面はあると思うけど。刃物のプロがプロの目でセレクトしたものばかり並ぶお店があったら素敵やもん。

②職人さんを立たせる。
○○さんの作ったものとして売る。直販野菜売り場です。信頼感とか安心感。個々の職人さんをスターにしちゃえばいい。

③値段じゃない所で勝負出来る品を鍛冶屋さんと一緒に作り出す。
それを小売店さんに納得させる技は必要やけど。それが問屋さんの腕。「安いから買って」「たくさん買ってくれるなら安くする」ではもう先がない。そんな場所に作り手の後継者なんか生まれません。

④そのためにお客様の声を職人さんに届けるべき。
良い意見も悪い意見も。これはすごく欠けてる部分だと思います。
クレームは技術向上のために必要やし、お褒めの言葉はモチベーションになります。

⑤あとは「研ぎ直し」をきちんと仕事としてとらえること。
「ダメになったら次買って」の時代は過ぎ去りました。「研げばずっと使えるき、自分で研いで」も今は通用しません。
車売るけど壊れても直せませんよ、って車屋さんから買わんもんね。すごく大事やと思います。
売るルートを逆に遡って、お客様→小売店→問屋→メーカーの道を辿れば出来ることやと思うけどなぁ。それを引き受ける鍛冶屋さんを作っていくべき。
そういうフォローは消費者さんも小売店さんも求めちゅうはず。それで、その対価はしっかりもらえばいい。

こんなとこです。

結果、自分がやってうまくいってることと、やろうとしてること、やらなければならないことと一緒でした。

これ全部出来たら土佐の刃物のクオリティーがもうワンランクアップするはず。

あとは鍛冶屋さんを育てるとともに町の金物屋さんなんかをプロデュースするとこまで行けたらいいですね。ホームセンターに駆逐されて売れなくなったお店を売れるお店に育てていく。ホームセンターとは違う方法で。

業界のしがらみとか、小売店さんと鍛冶屋さんの間に挟まれる辛さなんかを知らないから言えることかもしれません。
でも、そんなの取っ払ってやっちゃえばいいってタイプです。やってダメならまた考えます。

土佐の刃物業界がこの先も生活の中に生きていくのか、伝統産業のパターンに沿ってただただ縮小衰退していくのか。

大事な時だと思います。最後の時のような気もします。
頑張りましょう。
やり方次第でおもしろくなると思うけどなぁ。ダメかなぁ。

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